借金を返済したのに借用書を返してもらっていない
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2024.10.12更新mf
相談
先日、知人にようやく百万円返済し、借用書を返してもらいました。一件落着と思っていました。今まで言いずらかったことがありました。知人から、 4 回にわたりお金を借り、借用書(簡単なもの)も書きました。
元金も完済し 金利も相応に払いました。その都度借用書を返してもらっていればよかったのですが、「後で持ってくる」とのことだったのですが、2回目と3回目の借用書を返してもらっていません。
信用しているので おかしなことはないと思いますが、 1 回目の返済については簡単な受取りに署名だけもらっています。後の 2 回分の受取りはもらっていません。
今、知人とはあまり良い関係ではありません。後々トラブルになったら、どうしょうと心配です。
もしトラブルになったら、どのような対処の仕方があるのでしょうか。
相談者は、区役所の法律相談室で弁護士と相談しました。
回答
借用書は、単なる証拠です。借用書があっても、債務(貸付)の実体がなければ、法的に債務はありません。
相談者の場合、
トラブルになる可能性はあります。しかし、最後の分の 借用書 を返してもらっているようですので、大丈夫とは思います。
返済した証拠を確保することが大事です。返済の際は、借用書を返してもらうよりも、返済は銀行振込にするか、領収書をもらうことです。
下記令和5年の判決では、裁判所は、貸付の原資を原告代表者の義母から借り入れたなど、各貸付に係る金銭交付を裏付ける客観的な金銭の動きを示す証拠が見当たらないことも踏まえると、各借用書について、その記載内容を信用することは困難とし、各貸付に係る返還合意、金員交付のいずれについてもこれを認めるに足りる証拠はないとして請求を認めませんでした。
また、平成4年の判決では、
裁判所は、貸付の原資を原告代表者の義母から借り入れたなど、各貸付に係る金銭交付を裏付ける客観的な金銭の動きを示す証拠が見当たらないことも踏まえると、各借用書について、その記載内容を信用することは困難とし、各貸付に係る返還合意、金員交付のいずれについてもこれを認めるに足りる証拠はないとして請求を認めませんでした。
返済したのに、請求してくる場合は、相当悪質です。
その場合は、債務不存在確認請求訴訟などの裁判で争ってください。
判例
- 令和4年5月25日東京地裁判決
後記のとおり、本件各貸付に係る金銭交付を裏付ける客観的な金銭の動きを示す証拠が見当たらないことも踏まえると、原告と被告との間で本件各貸付に係る合意があったのか疑わしく、本件各借用書について、その記載内容を信用することは困難であるといえる。
中略
(2)さらに、本件各貸付に係る金員の交付については、原告は現金の手渡しであると主張し、その旨の供述(甲20、原告代表者本人)をするものの、これを認めるに足りる的確な客観的証拠はない。この点、原告は、本件貸付1及び3については、Bから借り入れた現金を被告に交付し、本件貸付2については貸付後にその補てんとして原告がBから借入れをしたと主張し、その旨の供述(甲20、原告代表者本人)をするが、これについても借入れに際しての金員交付が行われたことを裏付ける客観的証拠はない。これに関し、原告がBとの間で作成した借入金支払い確約書では、原告は、平成30年12月31日付けで、8月9日に65万円、同年12月5日に50万円、同月25日に35万円を借り入れたことが確認されているが、他方で、この借入金を「下記の通り分割して支払うことを確約します。」などと記載されており、必ずしもその意味するところが明確ではないなど、文書の意味内容自体があいまいである上、名目も「会社の資金として」となっており、被告に対する貸付に関わる借入であるのか判然としない面があることからすると(また、本件貸付3における貸付額が34万円であるのに対し、これに対応するという原告のBからの借入額は35万円であり、僅かではあるものの齟齬している。)、そもそも当該文書から原告がBから借入れをした事実を認めることには慎重にならざるを得ない上、仮に借入れの事実自体はあるとしても、前記(1)での検討に照らして、それが本件貸付1ないし3の原資となったと認めることもできない。
3 以上によれば、本件各貸付に係る返還合意、金員交付のいずれについてもこれを認めるに足りる証拠はなく、本件各貸付があったとする原告の主張は採用することができない。
- 令和4年2月25日東京地裁判決
被告が本件借用書を作成したことにより,原告と被告との間で本件借用書記載の内容どおり金銭支払に関する合意がされたとしても,当該合意の目的とされた旧債務である,原告と被告との間の平成23年4月の金銭消費貸借契約に基づく貸金返還債務が存在しないから,本件借用書に基づく原告と被告との間の上記合意は効力を有しない。
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