別居後の異性との交際

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Last updated 2015.5.19mf
相談
夫とうまく行かず、私は、「離婚する」と言って、家を出て別居しました。その後、ボーイフレンドと交際しています。そのボーイフレンドは私のアパートに時々きます。
先日、夫の弁護士からボーイフレンドに対し、不貞に加担したことよる慰藉料を500万円支払えとの内容証明郵便がきました。私とその人は、別居前から知り合いです。別居について相談をしたことがありますが、通常の交際でした。別居してから2ヶ月後に親密な関係になりました。
彼に慰藉料の支払義務がありますか。
また、夫は、「おまえは、有責配偶者だから、おまえから離婚請求できない」といいます。これは正しいですか。
相談者は、電話で予約し、法テラスの契約弁護士の事務所に行き、相談しました。相談者は、当時、収入がなかったので、費用は、無料でした。

回答

【正常な婚姻関係にあるときの不貞】
あなたと夫が正常な婚姻関係にあるときに、あなたが他の男性と親密な関係になった場合に、夫は、その男性に慰謝料請求できるし、あなたは有責配偶者となり、離婚請求できません。逆に言えば、婚姻関係が破綻したとみられる別居後に、 あなたが他の男性と親密な関係になった場合は、上記の問題は起こりません。
従って、夫は、あなたの恋人に慰謝料請求できないし、あなたは、有責配偶者とは扱われません。

【裁判になった場合】
裁判になった場合、現在交際している人については、弁護士には、説明しておいてください。依頼している弁護士に説明していなかったため、弁護士とトラブルになったケースがありました(参照:離婚の弁護士費用が高い)。

【裁判での挙証責任】
しかし、裁判は、不完全な人間の行為です。真実は発見できません。そこで、裁判には、挙証責任と言う、証拠を提出する責任の配分を定めた原則があります。証明できないときに、証明できない責任を挙証責任がある当事者が負担するのです。裁判所は、神様でなく、証拠がないと事実認定できないのです。
しかも、日本では、偽証、虚偽の陳述が横行しています。こうなると、何が真実であるか、裁判所もわかりません。
あなたの場合、慰藉料を請求する夫に、彼とあなたの不貞行為について、挙証責任があります。別居していますから、あなたと夫との婚姻生活は、一応、破綻していると考えられます。夫が証明しなければならない事実は別居前の不貞行為です。別居前の不貞行為を証明できなければ、慰藉料請求は認められません。これが、普通の考えです。

【妻の場合】
しかし、夫も裁判官も、別居前から妻(あなた)に不貞があったのではと、疑うでしょう。
そこで、あなたと夫の離婚裁判では、「妻(あなた)が若干の和解金(慰藉料)を払ったらどうか」との話しにもなるかもしれません。

【夫の場合】
これが、逆で、夫が別居後に妻以外の女性と親密に交際したことが判明した場合は、必ず、裁判官から、「若干の和解金(不貞行為があった場合となかった場合の、中間くらいの金額)を支払ったらどうか」と勧告を受けます。

【ポイント】
以上の点は、裁判官の性格によって違います。 裁判では、多くは、この通りになるでしょう。しかし、微妙な問題を含んでおり、以下の点が重要ですので、気を付けて下さい。 裁判は、人間の行為です。不完全なのです。真実は認定されません。疑われることを賢明に避ける必要もあります。
離婚裁判中に、新しい恋人と交際する場合は、それが、別居後であることの証拠を確保しておくと、トラブルを避けることができます。離婚裁判中は、同棲を避けるとよいでしょう。
登録 May 4, 2003
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