日本に帰り、アメリカに居るアメリカ人の夫と協議離婚したい

弁護士(ホーム)法律事務所離婚/婚約不履行 > 外国に居る外国人の暴力夫を相手に(被告として)日本で離婚の裁判できますか
Last update 2013.11.10mf
相談
私は、ロスアンゼルスでアメリカ人の夫と結婚し、現在、当地で働いています。私は夫と離婚したいのですが、当地では離婚の手続きに時間がかかります。
私は2か月後に日本に帰り、日本から協議離婚届の用紙を夫に送り、サインしてもらって送り返してもらい、日本で協議離婚届を出すことを考えています。この方法は有効でしょうか。
相談者は弁護士事務所を訪れました。

回答
これは次のように2つに分けて考えて下さい。

事例A:日本へ帰国後、あなたがアメリカに行きカリフォルニア州に居住する場合
この場合、日本の法律が適用されず、あなたの住むカリフォルニア州の法律が適用されます。あなたはカリフォルニア州の裁判所を通して離婚することとなります。

事例B:日本へ帰国後あなたが日本に住む場合
あなたが日本に住み、日本に住民登録をする場合は、日本の法律が適用されますから、日本で協議離婚届を出せます。
この離婚は日本では有効ですが、アメリカには協議離婚の制度がありませんので、離婚がアメリカで有効と認められるとは限りません。アメリカ人の夫がアメリカで再婚する場合、 結婚が認められない可能性があります。事前に当該国の大使館領事部へ問い合わせることも一方法です。アメリカは州により法律が異なります(あなたがアメリカで再婚する場合は、多分、結婚は認められるでしょう)。
従って、カリフォルニア州の裁判所を通して離婚するのが、現実的です。

一般に、協議離婚を認めない国が多いです。日本で手続きをするなら調停離婚(判決と同じ効力があります)、裁判離婚の方が外国でも認められ易いでしょう。
日本で、あなたが原告として日本の裁判所に訴えることができるのは、あなたが夫から遺棄されたとか、夫が行方不明である場合だけです。

適用する法律(準拠法):applicable law, governing law:
どこの国の法律が適用されるかは、 法の適用に関する通則法 27 条で決まります。
  1. 夫婦が属する国(アメリカでは州)が同じ場合はその法律
  2. 上記 1.でない場合、夫婦が長期間居住(常居所)している地が同一の場合は、その地の法律
  3. 上記 1. あるいは 2.でない場合、夫婦に最も密接な関係ある地の法律
  4. 但し、夫婦の一方が日本に長期間居住(常居所)している日本人であるときは日本の法律
相談者が日本に住み住民登録をしていれば(居住期間にかかわらず)上記4で、日本が常居所地と認められます。
事例Aには上記2が適用され、事例Bには上記4が適用されるのです。

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