修理不能、修理費が車の時価以上になる場合は全損扱い
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Last update 2010.7.17mf
相談
昨日、交差点で発進し左折しようとした際、左からお年寄りが横断歩道を渡ろうとしたので、停止しました。そのとき後からトラックに追突されました。私の車の後部は大破しました。フレームが曲がり、全損と判定されました。トラックはブレーキをかけていず、保険会社は、「 10 対 0 で、責任は全面的に加害者にある」と言っています。
私は車を 180 万円で購入後 2 年この車に乗っています。
私は、首も痛く、車は買い替えたいと思っています。どのくらいの賠償をしてもらえるでしょうか。
相談者は、東京の弁護士会の無料電話相談で相談してみました。
お答え
物損の損害賠償は原則として修理費用です。
修理不能もしくは修理費が車の時価以上になる場合は、全損として事故直前の車の時価が賠償額となります。フレームなど車の重要な構造部分に重大な損傷を生じ買い替えることが社会通念上相当とみとめられる場合は、同様に、事故直前の車の時価から損傷を負った車の処分価格との差額を損害として請求できます。
事故直前の車の時価は、同一車種、年式、型式、同程度の使用状態、走行距離の車の中古車市場での価格です。
市場価格が判明しない場合は、購入時の車の価格を減価償却して計算します。
自家用車の耐用年数は 6 年です。
減価償却による車の時価を算出する計算機 をご利用下さい。
減価償却の方法には、定額法と定率法があります。定率法は当初の減価が大きいです。
計算式定額法
時価=取得価額-{取得価額×(1-1/10)×0.166×経過年数}
定率法
時価=取得価額×(1-0.319)経過年数
判例
定率法を採用
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大阪地裁昭和44年10月31日判決:定率法(交通事故民事裁判例集2巻5号1558頁)
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東京地裁昭和46年1月28日判決:定率法(判例時報624号55頁)
定額法を採用
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東京地裁昭和44年12月19日判決:定額法(判例タイムズ244号268頁)
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名古屋地裁昭和56年3月12日判決:定額法(交通事故民事裁判例集14巻2号383頁)