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2015.5.22mf

飛び出してきた自転車に衝突した事故の損害額の算定: 被害者は植物人間/過失相殺

相談:飛び出した自転車と衝突

今年2月、姉が人身事故を起こしてしまいました。田舎の狭い路地での自転車の飛び出しが原因でした。姉は、制限速度時速30kmのところ、35kmで運転していたそうで、気が付いたときには、自転車は目の前で、急ブレーキを踏んだが、とても避けられない状況だったそうです。被害者は、18歳の男の子で、高校卒業後、就職先も決まっていました。
被害者は、現在、頭蓋骨骨折で植物人間状態です。おそらく、長い闘病生活になると思います。
姉は、対人賠償1億円の保険にしか入っておらず、保険会社から、「1億円を越える分には責任は持てない」と言われています。
姉は、毎日かかさず病院に見舞いに行っていますが、相手の両親から、「あんたの子どもが18歳になったら、車でひき殺してやる」などと、度々、言われ、とても示談に持ち込むのは難しいと思われます。
また、被害者の家が、姉が最近購入した家の近所で、周りには親戚も多く、子どものことを思うと、とてもこのまま住める状況でなく、現在、新築の家を売りに出し、それだけで大きな借金を抱える破目になりました。
被害者の状態は、当分、「良くも悪くもならないだろう」と言われています。
この先、どのように解決していけばよいのか、又、姉も精神的に疲れきっています、加害者側の、置かれた状況が、裁判になった場合、少しは考慮されるのでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんが、どのようにしたらよいかご指示をお願いいたします。

回答:過失相殺できる

弁護士は、次の通りの説明をしました。
この交通事故の場合、被害者の損害は、得べかりし利益のほかに、一生の介護費用が入るため、損害の合計は死亡事故より大きく、1億円以上になる可能性があります。
しかし、自転車の飛び出し事故の場合は、被害者に過失があり、過失相殺できます。その場合は、加害者の責任は1億円以下になる可能性があります。

具体的には車が走っていた道路と自転車の走っていた道路の優先関係が問題となります。
過失割合でも、自転車は、保護されています。 自動車の走行していた道路の方が、自転車の走行していた道路より、明らかに広い場合は、基本的には、過失割合は、車 70%、自転車 30% です。これに自転車の飛び出しという重過失 10% をプラスし、車は 5km 速度オーバーを 5% として考慮すると、車の過失割合は 65%、自転車の過失割合は 35% です。
もし、被害者の損害が1億5千万円なら、加害者の賠償責任は、その 60% の 9750 万円になります。
本件は、被害者に大きな過失があります。被害者の過失割合は、もっと大きい可能性もあります。上記のような責任関係を頭に入れ、冷静に行動してください。

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