被害者が高齢者の場合の得べかりし利益の計算方法

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2015.6.8mf updated
弁護士河原崎弘
質問
私の母(53歳)は早朝横断歩道を渡っていた際、赤信号を無視して走行してきたバイクに跳ねられ死亡しました。バイクは保険に入っていたので、現在保険会社の担当者と示談交渉中です。
母は、華道の師範をしていて、年収は、400万円ほどありました。保険会社は、67歳までの収入を計算して、損害を計算すると主張していますが、私の周囲では華道の師範は70歳を過ぎてもできるから75歳までの収入を計算するように言います。
事故の賠償の常識では67歳までの収入を計算するそうですが、これでは実状に合わないのではないでしょうか。
相談者は日弁連交通事故相談センターで弁護士に相談しました(料金は無料)。

お答え
裁判所においての 交通事故 の損害賠償の計算は、定型化されていますが、できる限り個別的事情も考慮しています。
得べかりし利益の計算をする場合は、通常、67歳まで働けることを前提にしています。しかし、高齢者の場合は、67歳までと、平均余命2分の1のうち、長い方を働くことができる期間としています。
さらに、職業によっては、次のような判例があり、67歳以後も働けることを認定しています。
  1. 箏曲師範兼仏具金具製造業手伝い(54歳女性)の死亡による逸失利益について、箏曲組織に所属し、弟子35名に琴、三絃を指導していて、弟子からの月謝収入、免許料の師匠収入分、事故前1年間の演奏会の出演料、ラジオ出演料、レコード吹込料を収入の基礎として、就労可能年数を70歳までとし、生活費控除については20%にして計算(京都地裁昭和62年5月6日判決)      
  2. 56歳の開業医(男性)について70歳まで14年間就労可能(京都地裁平成7年12月21日判決)
あなたのお母さんの場合、上記判決に従えば、70歳まで(17年間)の収入を損害として算定できるでしょう。
当サイトの損害金計算機では55歳を基準とし、55歳未満の人は67歳まで就労可能とし、55歳以上の人は平均余命の2分の1の期間就労可能として計算しています。そこで、当サイトの 損害金計算機 を使う場合には、年齢を50歳(67歳まで17年間就労可能)と入れて計算して下さい。

平均余命

平均余命:年
年齢:歳
5922.8728.52
6022.0627.62
6121.2526.72
6220.4525.82
6319.6624.93
6418.8824.05
6518.1123.16
6617.3422.29
6716.5821.41
6815.8320.55
6915.0919.70
7014.3818.35
7113.6818.02
7213.0017.19
7312.3416.38
7411.7015.59
7511.0714.80
7610.4614.03
779.8713.28
789.3112.54
798.7611.81
平均余命:年
年齢:歳
808.1311.11
817.7310.42
827.259.77
836.799.14
846.358.54
855.937.97
865.547.43
875.176.91
884.846.43
894.525.98
904.235.56
913.965.17
923.714.81
933.474.48
943.254.18
953.053.90
962.863.64
972.683.41
982.513.19
992.362.99
1002.212.80
厚生労働省 「平成17年簡易生命表」より

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