評価損
弁護士(ホーム) > 交通事故相談 >
2010.7.17mf Updated
質問
私は、先日、自動車を運転中に、後ろから追突されました。車は半年前に 250 万円で新車で購入したものです。私は、幸い、軽症(むちうち)で通院となりました。しかし、私は、仕事が忙しく休むことができず、痛みをこらえて働いています。通院する時間がなかなかとれないのです。
車のほうは、かなりひどく壊れましたが、車軸が曲がっていないのと、エンジンに損傷がないとのことで、全損という査定がもらえませんでした。
加害者が加入している保険会社の担当者が、査定に来て、修理費として 90 万円と、通院した分の医療費しか認められないとのことでした。
私が不満に思っておりますのは、修理しても、事故車として将来の下取り価格が下がってしまうのがわかっている車を、これからもローンを払い続けて乗らなくてはいけないのは、おかしいこと。それと、保険会社が間に入っているからといって、10対0で加害者の過失なのにもかかわらず、加害者の方からは、謝罪の言葉が一言もないことです。
相談者は、弁護士会の電話相談 で相談してみました。
回答
修理しても完全には修復できず、外観や機能に欠陥が残り、あるいは事故歴により、中古車市場で商品価値が下落すると予想できる場合は、評価損が認められます。
評価損は- 修理しても、ハンドルが取られたり、異音がするとかの欠陥が残ると、修理費の 2 割から 4 割前後の評価損が認められます。
- 欠陥がない場合は、車軸とか、エンジンとかの車の骨格部分の修理交換をした場合でないと、評価損を認めさせることはかなり困難です。評価損が認められるのは、車の骨格部分、エンジンなど走行性能、安全性能に関する部分に事故の影響が及んでいる可能性がある場合です。
医療費のみの賠償とのことですが、通院をしていれば、通院日数に応じて 慰謝料 が認められます。鞭打ちは時間が経過してから症状が出ることがありますので無理をしない方がよいです。
損害の査定は外形的事実に基づきますので、近くの医師に通うなど、状態は悪いときには、形式的にでも、通院の実績を作るべきです。修理費の金額から判断し、衝突の衝撃も大きかったと推測できます。
物損のみの損害だと、加害者は通常刑事罰を対象になりませんので、どうしても謝罪などのない状態になります。傷害があるのなら、通院し、診断書を警察に届けてください。警察は業務上過失事件(刑法 211 条)として扱います。
加害者の態度が悪いなら、運転手を業務上過失傷害罪で 告訴 したらどうでしょう。そうすると、警察に捜査義務が生じます。示談 にも良い影響があるでしょう。