スキー場での衝突、接触事故での過失相殺

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2015.7.7mf
弁護士河原崎弘

相談:事故の発生

スキー場で衝突事故を起こしました。スキークラブの講習で、コーチ方向に滑走中、左隣のスロープからきた女性を発見、急ぎ避けようとしま したが、合流点で接触、転倒。私にはけがはありませんでしたが、女性は左足膝の靱帯、半月板を痛め、通院後、手術をすることになりました。
当初の話し合いでは、私はコーチに向かって右ターン中で、左側には不注意であったと言い、相手の女性も左側にいた子供に気を取られて右側(私側)には不注意であったと認めました。幸い、私はスキー保険に入っていたので、「保険の範囲で治療費の手助けをする」と伝え、スキー場を後にしました(クラブの方とともにスキーパトロールに連絡、応急処置はしました)。
その後、女性の夫(スキーに同行していたが、衝突現場にはいない。損害保険会社員)が話に入り、「あなたは、上の方から滑ってきて、衝突を避けなかった」と主張し、休業補償も請求してきました。
私の保険会社では休業補償までは応じられないとのことで(治療費は出る)、この旨を女性の夫に伝えたら、「裁判にする」と言われました。
以上のような場合、私は100%悪いのでしょうか。過失相殺は認められないのでしょうか。保険会社の話では、スキークラブにも管理責任があると言っています。
なお、クラブの講習ですから、私もコーチの合図に従って滑りました。衝突直前には危険だというコーチの声を聞いていません。受講生も一般スキーヤーへの注意義務はあると思いますが。衝突場所はコーチの手前5から7メートルくらいの場所で、コーチほか他のクラブ員も見ていました。証人になってくれるそうです。
保険会社、スキークラブと相談中ですが、今後どのように対応したらよいでしょうか。

弁護士の回答

上方から滑ってきた方に過失があります

スキーでも、具体的に衝突を予見、回避できたのに、回避しなかった場合は、回避しなかった当事者に過失があり、損害賠償責任があります。スキーの場合、衝突を回避できる当事者は、通常、上方から滑ってきた方ですので、上方から滑ってきた方に過失があります。これが原則です。

過失割合/過失相殺

次のような場合は、被害者にも過失あると判断されます。 加害者に過失があっても、被害者にも過失がある場合は、過失の割合に応じて、加害者は責任を負います(過失相殺、民法722条2項)。 相談者の場合、被害者に50%の過失がありそうです。あなたは、50%の損害賠償責任を負います。
本件の場合は、コーチのコントロ−ル下で事故が発生していますので、コーチにも安全配慮の責任があります。コーチに過失があると、その雇主のスキークラブにも管理責任がある蓋然性が大です。
コーチ、スキークラブなどにも責任が認められると、あなたとコーチ、スキークラブなどは被害者に対して連帯責任を負います(不真正連帯債務)。50%の過失なら、あなたとコーチなどは相手の治療費、慰藉料、休業損害の50%を賠償する義務があります(過失相殺)。賠償した後は、あなたと、コーチ、スキークラブは、その責任の割合に応じて支払った分を負担します。
登録 Nov. 15, 1999
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