弁護士(ホーム) > 金銭貸借、保証、債務整理、破産 > 破産債権を弁済した保証人の地位
mf

破産債権を弁済した保証人の地位

弁護士河原崎弘
相談
私は、A社の連帯保証人として、A社のB銀行に対する債務を約800万円弁済しました。その後、A社に対して破産宣告がありました。裁判所から、私にも通知がありました。
破産宣告後、B銀行の要求(私の家を差押えるとの通知があり)で、200万円ほど弁済しました。
私は、裁判所に対し、破産債権としていくらを届出るべきなのでしょうか。
相談者は、奥さんと一緒に法律事務所を訪れ、弁護士に相談しました。

説明
破産手続きでは、債権届出をする債権者及び債権額は、代位弁済をした時期によって異なります。 このように、破産においては、破産開始決定時の債権額によって債権者と債権額を固定し、手続きを進めます。これを開始時現存額主義(宣告時現存額主義)と呼んでいます。
そうすると、相談者の場合は、破産決定前に弁済した800万円の求償権については破産債権として届けて、破産開始決定後に弁済した200万円(一部の代位弁済)の求償権については、将来債権として届けてください。しかし、B銀行(債権者)が届けると、200万円は破産債権になりません(破産法104条3項)。

参考法律

破産法
(全部の履行をする義務を負う者が数人ある場合等の手続参加)
第104条
1 数人が各自全部の履行をする義務を負う場合において、その全員又はそのうちの数人若しくは一人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてそれぞれの破産手続に参加することができる。
2  前項の場合において、他の全部の履行をする義務を負う者が破産手続開始後に債権者に対して弁済その他の債務を消滅させる行為(以下この条において「弁済等」という。)をしたときであっても、その債権の全額が消滅した場合を除き、その債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてその権利を行使することができる。
3  第一項に規定する場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者は、その全額について破産手続に参加することができる。ただし、債権者が破産手続開始の時において有する債権について破産手続に参加したときは、この限りでない。
4  第一項の規定により債権者が破産手続に参加した場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をしたときは、その債権の全額が消滅した場合に限り、その求償権を有する者は、その求償権の範囲内において、債権者が有した権利を破産債権者として行使することができる。
5  第二項の規定は破産者の債務を担保するため自己の財産を担保に供した第三者(以下この項において「物上保証人」という。)が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をした場合について、前二項の規定は物上保証人が破産者に対して将来行うことがある求償権を有する場合における当該物上保証人について準用する。

参考判決
登録 2011.3.9