保証人が破産した場合の債務者本人への影響、免責

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2011.5.26mf
相談
私は、息子の住宅ローン債務2000万円につき連帯保証し、その他にも知人の債務500万円につき連帯保証しています。私は、個人的な事情で、債務の支払いができなくなり、自己破産し、免責を得ることになりました。
免責の結果、息子の住宅ローンに影響しますか。保証債務は、まだ顕在化していないのですが、免責を得ることができますか。破産して知人の保証人は外れることはできるでしょうか。
相談者は、奥様と一緒に法律事務所を訪れ、弁護士に相談しました。

回答
(主たる債務者に対する影響)
保証人について破産手続が開始されますと、その保証人は弁済する資力を有する保証人ではなくなりますので、債権者は、主たる債務者に対して、行為能力があり、かつ、弁済をする資力を有する代わりの保証人を立てるように請求をすることができます(民法450条2項)。
主たる債務者が、資力ある保証人を用意できなければ、保証人を立てる義務の不履行となり、主たる債務の期限の利益の喪失事由にもなります(民法137条3号)。主たる債務は履行期にあるとされます。
そうすると、債権者(銀行)は、抵当権を実行(競売申立)できます。

(保証債務の顕在化)
保証人が破産手続き開始決定を受けたときは、債権者は、破産手続き開始時の債権全額につき破産債権者として権利を行使できます(破産法105条)。保証債務履行請求権は破産債権になります。 従って、相談者は、保証債務について免責を得ることができます。破産すると、知人の保証人である地位からも外れ、解放されます。

参考法律

民法
(期限の利益の喪失)
第137条  次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一  債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二  債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三  債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

(保証人の要件)
第450条  債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
一  行為能力者であること。
二  弁済をする資力を有すること。
2  保証人が前項第二号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3  前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。
(他の担保の供与) 第四百五十一条  債務者は、前条第一項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。

破産法
(保証人の破産の場合の手続参加)
第105条  保証人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。
登録 2011.3.9