河原崎法律事務所ホーム
2015.4.8mf
弁護士河原崎弘

依頼人が違法に入手した証拠を提出した弁護士の責任

質問:違法取得の証拠

私は、夫と離婚訴訟をしています。私の依頼した弁護士は、依頼人である私の質問に対する回答がいいかげんです。私の質問について、調べもせず、返答しています。質問に対して、めんどくさいといった態度がありありとしています。
同居しているときに、私は、夫の預金通帳、日記、家計簿をコピーし、さらに、夫の携帯電話のメールを写真にとって、証拠に出しています。これらは、同居したときに写したものです。 今は、別居していますが、夫のマンションの郵便受けの中にある郵便物も調査し、一部を抜き取りました。
全部、弁護士に相談し、弁護士が、「大丈夫」と言ったからです。
弁護士は、これらを証拠として裁判所に提出しました。
ところが、夫側は、私に対し、郵便物の抜き取り行為はプライバシーの侵害だとして損害賠償請求の反訴を提起してきました。 私は、弁護士が「大丈夫」と言ったので、やったのです。友人は、私はやり過ぎと言っています。私に責任がありますか。
私は、もし裁判に負けたら、弁護士を訴えるつもりです。 弁護士は、依頼人の行動を監督すべきではないですか。 あまり酷いので、私は、この弁護士を、弁護士会にも、懲戒申立をしてやろうと考えていますが、弁護士の責任を問うことができますか。

回答:弁護士の責任は重い

相手のプライバシーを侵害し、違法に証拠を取得した場合、取得者は損害賠償責任があり、刑事罰を科せられることもあります。配偶者、直系血族、同居の親族間では窃盗罪が成立しません(刑法244条1項)。家庭に法律が入らずとの思想があるのです。
従って、同居している場合、同居人の書類をコピーするなどの行為は違法性が低く、刑事罰は科せられず、民事上でも違法性は低いでしょう。 しかし、別居している場合、配偶者の郵便物をとる行為は窃盗罪に当たり、違法性も大きいです。
あなたも、夫に対し、若干(金額は小さい)の損害賠償責任があるとの判決が出る可能性はあります。
さらに、いい加減に回答した弁護士にも責任があります。 弁護士は、依頼人の言うとおりに動くのではなく、客観的な立場で、専門家として、依頼人に対し法的意見を述べる責任があるからです。プロである弁護士の責任は重いです。
下に、依頼人が 違法に取得した証拠を不用意に提出した弁護士に(依頼人に対し)慰謝料150万円の責任を認めた判決を掲げます。
弁護士会でも、懲戒事由に当たる可能性はあります。

判決

2010.11.20
神谷町 | 河原崎法律事務所 3431-7161