被害者の過失が大きい死亡事故で、運転者が逃げた場合の刑事責任

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2015.6.18mf更新
弁護士河原崎弘

相談:事故後逃げた

私の息子は、普通乗用車を運転し、夜の午前2時頃、道路幅約10m(車道)の道路を、制限速度内の時速約50kmで走行していました。道路の歩道側から2mほどのところに寝ていた54歳の被害者に、6mほど手前で気が付き、ブレーキを踏んだが間に合わず、被害者に衝突してしまいました。息子は、怖くなってそのまま、逃げたそうです。
私のところに電話がありましたので、すぐ、私と一緒に警察に行き、自首させました。息子は逮捕されました。被害者は病院で死亡しました。
息子の車は、対人賠償額無制限の任意保険に加入しています。この後、どうなるでしょう。私はどうしたらよいでしょうか。
父親は、日弁連交通事故相談センターでは、無料で交通事故についての法律相談ができると聞き、電話をしました。しかし、センターは、「相談できるのは、交通事故の民事関係の問題だけです。刑事関係の相談はできません」と答えるのです。そこで、父親は、区役所に電話をし、予約し、翌日、弁護士と相談できました。料金は必要ありませんでした。

回答:示談書、嘆願書が重要

このケースでは、被害者の過失が大きく、運転者の過失は小さいです。過失の小さい自動車運転(旧業務上)過失致死罪なら、罰金20万円前後でしょう。
しかし、運転者は、道路交通法で決まられた、救護義務、事故報告義務を履行していません(ひき逃げです)。そこで、公判請求されます。しかし、前科がなければ、刑は、禁固あるいは懲役2年半、執行猶予4年ほどでしょう。
自首した事実は息子さんにとって有利な事由です(刑法42条)。示談ができたり、被害者の嘆願書がもらえれば、それは、さらに、よい事由です。しかし、刑事裁判は早く終了し、その前に、示談を成立させることは、難しいかもしれません。
示談が成立しなくても、執行猶予は付くでしょう。

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