保証人が主たる債務の消滅時効を主張できるか/弁護士の法律相談

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Last updated 2023.1.39mf

相談:債権の時効消滅期間

私は、友人に頼まれ、友人が500万円を借りる際に保証人になりました。貸主は会社です。友人は少し返済後(借りたときより4年経過後)、行方不明になりました。友人は、そのときまでは弁済していたようです。最近、貸主の会社は私に対し貸金の残金と利息、合計350万円を請求をしてきました。この時点で、借りたときより6年経過していました。
商売上の貸金の時効期間は5年と聞きました。私は、債権の消滅時効を主張できませんか。
この方は、学生時代の友人の弁護士事務所を訪れました。

回答:民法改正により債権の時効は5年

2020.4.1施行の民法改正により、商取引上の債権にかかわらず、債権の時効消滅期間は5年になりました。
この5年の期間の起算日は、弁済期から計算します。途中で、一部を弁済していると、債務を承認しているとされ、時効が中断し、そのときから計算します。主たる債務者の時効の中断の効力は、保証人にも影響します(民法457条1項、保証債務の附従性)。
友人は2年前まで弁済していたのですから、債務を承認しています。そのときから計算しますと、まだ5年経過していないので、債務が時効消滅しているとの主張は無理でしょう。

関連相談1:主たる債務の時効消滅

私は、友人に頼まれて、友人が300万円を借りる際に保証人になりました。貸主は会社です。友人はすぐ行方不明になりました。そのため、貸主は、私に対してだけ請求し、当初、私が一部弁済しました。その後、7年を経過しました。
この場合は、私は、主たる債務が時効消滅したと主張できますか。

回答

貸主が、主たる債務者に請求せず、保証人にだけ請求していると、主たる債務者の債務が時効消滅する例はあります。保証人に対する請求は、主たる債務者に対する請求とはならないからです。
債務の時効期間は5年ですから、弁済期から5年を経過している各期の分割債務は時効消滅しています。この場合、保証人は、主たる債務者の持っている抗弁権(時効消滅)を行使できます。

(例外)
ただし、連帯保証人の場合は、連帯保証人に対する請求は、主たる債務者に対する請求とみなされ、主たる債務者に対して効力を生じます(民法458条、434条)。

東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301 弁護士河原崎弘 電話 03-3431-7161
2004.12.11