個人(自然人)破産手続きの中の少額管財とは

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2011.4.6mf更新
弁護士河原崎弘

東京地方裁判所では、多額の予納金を収める代りに金20万円の予納金(他に官報掲載費用約 1 万 6 千円が必要)で、管財人を選び、簡素な手続で破産手続きを行う運用が行われています。

少額管財の特長

破産予納金 が20万円です。通常の最低予納金(50万円)より、低廉。
自己破産申立事件に限る。
弁護士が代理人として申立る場合に限る。破産管財人を選び、法的処理をするので、清算手続が透明、公平。
原則として 1 回の債権者集会で終わるので、手続き期間が短い(3ヶ月ー6ヶ月)。
若干の資産があれば、これを換価して平等に配当ができる。
財団に組入れ、配当に当てる資産は次の通り。

少額管財手続きはどうすればよいか。

弁護士に依頼し、20万円を予納し、裁判所に自己破産の申立をします。その際、少額管財希望と述べる。複雑な手続きが予想されなければ、少額管財手続がとられる。

少額管財手続を利用するメリットは

管財人が選ばれるので、破産法を利用できることです。
(例1 強制執行の失効)
資産が差押えられた場合、特に給料が差押さえられた場合、破産宣告により、差押えは効力を失う(破産法70条1項)。破産者は、給料を自由財産として生活費に当てることができる。
具体的には、管財人から執行裁判所に対し執行取消の上申をしてもらいます。破産者、ないし、破産者の代理人からは、この上申はできない。

(例2 免責不許可事由の調査) 
破産者に、詐欺、浪費、賭博などのための借入れなどがある場合
収入や勤務先を偽って借り入れした場合、質入目的でカードで買物をした場合は、詐欺に当たる。
借金で風俗店に頻繁に出入りしていた場合は浪費に当たる。
借金で競輪、競馬にふけっていた場合は賭博に当たる。
このように免責不許可事由があっても、軽い場合は、以前は、一部配当をして、免責決定を出していた。 東京地裁では一部弁済を止め、管財人が調査をし、破産者が誠実であることを認めれば、免責を決定することになる。

東京地裁以外の裁判所での処理

現在、少額管財手続があるのは、東京地裁(本庁)と横浜地裁のみです。東京近郊の裁判所の扱いは以下の通り。

東京地裁立川支部少額管財手続はなし。しかし、管内の事件でも本庁(霞が関)に申立でき、少額管財手続を利用できる。
横浜地裁あり
横浜地裁川崎支部あり。東京地裁と同じ。支部の管轄外でも、横浜地裁が管轄する事件であれば、受付ける可能性あり。要相談
さいたま地裁なし、個別審査で、同様の手続をとることはある。
千葉地裁なし
千葉地裁松戸支部なし

少額管財は便利です。東京地裁は2010年4月1日現在、東京近県に住所などがある申立人につき管轄を認めていますので、東京地裁が利用できます。