相談:不動産
不動産業者の仲介で、土地付き住宅(中古)を買いました。売買契約のときにはわからなかったのですが、測量(実測)をしたところ、実際には不動産登記簿上の面積と比べて2.75u少ないことがわかりました。
契約の際、建物は古いので評価せず、代金として、「土地138.24u、代金7464万円(約54万円/u)」と、契約書に書いてあります。私は、不足面積に相当する代金148万5000円の返還(減額)請求をすることができますか。
弁護士の回答
数量を指示して売買をした物が、不足していた場合は、買主は、代金減額請求できます(民法565条)。「数量を指示して売買する」とは、当事者が、売買の目的である特定の物が一定の数量を有することに主眼を置き、代金もこの数量を基準として決めた場合です。
土地の売買では、土地の面積が表示されますが、それだけでは、数量を指示したことになりません。面積の表示は、土地を特定するためのものであり、登記簿上の面積は、実際の面積とは違うからです。
土地を分譲する際、面積および単価を表示し、各区画の価格を決めた場合は、原則として、数量指示売買となります。契約書中で、数量および単価を表示し、後で、実測し、数量に増減があった場合は、代金を増減して清算するとの条項がある場合も、数量指示売買に当たります。
以上の場合以外は、数量指示売買と解釈することは難しいです。通常、数量は目的物を特定する手段と見られているのです。
相談者の場合、「土地138.24u、代金7464万円(約54万円/u)」との表示は、目的物を特定し、一応の代金計算の根拠を示したのです。数量指示売買とはならないでしょう。
農地、あるいは元農地の宅地では、逆に、実測すると面積が増えることがよくあります。これは、大昔の検地の際に、農民が年貢の賦課に抵抗して、農地の面積を少なくしたことに原因があるといわれています。
なお、実測の結果、面積が増えた場合に、代金増額請求ができるかは、当事者がそのような意思を持っていたかによるとして、面積が減った場合とは別に考えることが多いです。下記判例を参照。
参考:坪換算機
判例
- 最高裁判所平成13年11月22日判決
市街化区域内に所在する50坪余りの更地の売買契約において、契約書には目的物件の表示として公簿面積のみが記載されていたとしても、それが住宅用の敷地として売買されたものであり、代金額については、坪単価に面積を乗じる方法により算定することを前提にして、売主が提示した坪単価の額からの値下げの折衝を経て合意が形成され、当事者双方とも土地の実測面積が公簿面積に等しいとの認識を有しており、契約書における公簿面積の記載も実測面積が公簿面積と等しいか少なくともそれを下回らないという趣旨でされたものであるなど判示の事情の下においては、当該土地が公簿面積ど おりの実測面積を有することが売主によって表示され、実測面積を基礎として代金額が定められたものということができ、その売買契約は、いわゆる数量指示売買に当たる- 最高裁判所平成13年11月27日判決
いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、売主は民法565条の類推適用を根拠として代金の増額を請 求することはできない。