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Update 2015.5.1mf1

てんかんを持ったはな

dog's photo

我が家にはなが来た:開発との名目で樹木を切り、海岸をコンクリートで固め、動物の生きる場所が失われつつあります。
自然が破壊され、僅かに草木がある公園も犬が入れないところが多く、動物にとって、都会は住み難いところでしょう。近くの公園には「野良猫にえさをやらないでください」と掲示がしてあります。現代人には、小さな自然が残っている公園の片隅で生きている小動物を思いやる気持がないのでしょうか。動物は刑法では物と同様に扱われ、保護する規定として 動物の愛護及び管理に関する法律 しかありません。動物にとって人間は恐ろしい存在です。
人権との名の下に人間だけが優先されてきました。そんなところへ、はなが来ました。
はなは、文字通り、白い花のような犬でした。
近くの西郷山公園(西郷従道の屋敷跡)に行くと、犬の仲間に会えます。はなも西郷山公園が好きになり、「西郷山」とか、「行く」とかの言葉には敏感に反応するようになりました。はなは我が家の一員でした。

てんかんの発作:はなが1歳のとき、西郷山でおかしな動作をすることに気が付きました。しきりにお辞儀をするのです。後で、これがてんかんの発作の始まりとわかりました。
発作回数は、1月に1回が、2回、3回となり、増え、約5か月後には全身を痙攣させる激しい大発作なりました。動物病院に行き、治療を受けました。獣医さんの助言で卵巣摘出手術も受けました(これは何の効果もありませんでした)が、よくならず、逆に抗てんかん剤のため、肝臓が悪化し、はなは見ていて可哀相なくらいに体調を悪くしました。
その後の1年間は、発作は悪化し、体調も崩す日が続きました。最後には、動物病院の獣医さんが、「安楽死」との言葉を漏らすようになりました。
他の動物病院にも行き、相談しましたが、やはり、ありきたりの抗てんかん剤を薦めるだけで治療にはならず、初めから治療を断る病院もありました。
友人から、「アメリカの動物病院は技術が進んでいる」と助言されましたが、すぐ犬をアメリカに運ぶすべはなく、医学知識のない私は、途方にくれました。

ビタミンB6:私は、人間のてんかんなら文献があると思い、近くの大学の医学部の図書館で最新の医学雑誌などをコピーさせていただきました。
そこで、わかったことは、はなのてんかんは、小児てんかんの中でも治療の難しい点頭てんかん(West症候群)、ないし、これが進行したLennox症候群であることでした。同時に、ビタミンB6、特に燐酸ピリドキシンが、劇的な効果がある場合があると指摘する文献を見つけました。
燐酸ピリドキシンは、 日本の薬局ではあまり売っていません。売っているビタミンB6は塩酸ピリドキシンです。私は、これを買って、1日、300-500mg前後を飲ませました。数にすると、1回に30から50錠を飲ませるのです。はなは、大量の錠剤をよく飲んでくれました。
今まではどんな薬も効果なかったのに、B6の大量投与で、2日に1回くらいあった発作が止まったのには驚きました。発作は完全には止まりませんが、劇的に回数は減り、弱くなりました。初めて、はなのてんかんに、薬(ビタミンB6)の効果があったのです。抗てんかん剤(これは肝臓を悪くする)を中止しましたので、はなは、久しぶりの体調の良い日が続き、嬉しそうに走っていました。私たちにとっても大変楽しい日が続きました。

しかし、塩酸ピリドキシンを投与しても、2ヶ月過ぎると、前と同じように発作が起こりました。
そこで、私は、必死で燐酸ピリドキシンを売っている薬局を捜し、大量に買いました。これをはなに飲ませましたら、今度は発作がぴたりと止まりました。私は、燐酸ピリドキシンの劇的な効果に感動さえしました。

てんかん発作を起こす場合:人間のてんかんの本を見ますと、てんかんの約6割は薬で発作を抑えることができるようです。そこで犬の場合も、色々な抗てんかん薬を試し、日記をつけて、薬の効果を観察し、効果のある薬を捜しながら、併行して肝臓の検査で薬の副作用を観察する必要があります。また、1つの発作は次の発作の原因となりますので、できるだけ早期に発作を抑える必要があります。
犬のてんかんが簡単に抑えることができない場合は、医学図書館で人間のてんかん症例を調べ、同じような症例を探し、それに効果のある薬を探します。薬がわかったら、文献のコピーを獣医さんに見せ、投薬をお願いします。
この方法が最良でしょう。獣医学部のある大学病院で脳波などをとる方法もあります。何と言ってもてんかんの型を判別し、有効な薬を早く見つけることが必要です。
犬特有のてんかんもあるようですので、獣医さんの意見を考慮する必要があります。 ・・・・続く

効果のあった薬の名投与量効果参考
塩酸ピリドキシン300mg-500mg/1日効果あるが、発作は完全には消えない市販薬
燐酸ピリドキシン300mg-500mg/1日完全に発作が消えた少数の市販薬あり
バランス
Chlordiazepoxixide
40mg/1日発作が完全に消えた錠剤
ACTH発作が完全に消えた筋肉注射
はなの体重は12kgでしたが、ACTH注射後14kgになりました。体重に比例してB6の量を加減します。
ビタミンB6には塩酸ピリドキシンと燐酸ピリドキシンがありますが、日本での市販薬はほとんど塩酸ピリドキシンです。

参考文献点頭てんかんの症例 相互リンク *大量のB6が必要ですので、カナダから来日する知人に買ってきてもらいました。値段が日本の2分の1以下でした。日本人が(厚生省のお陰で)高い薬を買わされていることを知りました。
知人は、税関でストップされました。ビタミン剤たったの10ビンです。てんかんの治療に多量のB6が必要であることを説明し、結局、通してもらったそうです。公務員は、本当に国民のために働いているのか疑問を感じました。
Nov. 23, 1998
河原崎 弘

質問
日本で売られている燐酸ピりドキシンにはどんな名前が付いていますか?

回答
各社から、「燐酸ピりドキサール」、「ピリドキサール」、「活性型ビタミンB6」などの表示で錠剤が売られていますので、これが簡単に手に入ります。しかし、獣医さんに投薬してもらうのが、原則です。
B6が効果があるのは特殊なてんかんです。素人が、獣医師に相談せず、勝手に投薬するのは、てんかんの治療を誤り、動物愛護の精神に反します。日本においては、てんかんに対応できる獣医師は少ないと思いますが、少なくとも、獣医師の診断を受け(獣医大学付属病院がいい)、獣医師の処置を見ながら、それに協力する態度が必要です。

質問
実はわたしの家にもてんかんと闘っている犬がいます。〇〇〇〇という名のラブラド−ル、雄、6歳です。
発病して4年くらい経ちました。抗てんかん薬を投与しているにもかかわらず発作は増すのみです。フェノバ−ル、テグレト−ル(カルバマゼピン)、デパケン(バルプロ酸)を単剤で最大容量まで順に試してきましたが、発作症状の軽減はあるものの、発作が頻発するようになりました。
今日は2回、昨日は4回・・・。獣医さんは「気長に効果のある薬を探していく」とおしゃいますが、最近、特に頻発するようになったので、藁をも掴むおもいでこのペ−ジにたどり着きました。
多分、私の犬とはなちゃんのてんかんは発作型が違うと思います。うちのは脳波検査やMRI検査をしてないので確かではないんですが。「部分発作から始まる二次性全般化だろう」と言うことなんです。
発作は急に始まる様ですが、必ず起きる直前に飼主の所へよたよたと歩いて来るのです。
そして呼びかけにも多少反応しますが、直後に強直発作に移りますこの時は瞳孔も開いてしまい外部からの反応も無くなります。そしてこれが10分ほどたって徐々に意識を戻しますが、痙攣は全身に残ります、涎がたくさん出ますが、失禁はありません。発作の終盤期によく左顔面に麻痺のような症状も呈します。通常の活動に戻るのは発作開始から30分後くらいです。発作は睡眠中でも活動中でも起きますが、
睡眠不足、特にストレスやなにかの強い刺激(恐怖感や歓喜など)に誘発されるようです。
長々と書いて申し訳ありません。途方に暮れていたので誰かに話したくて仕方がなかったのです。なにかコメントがいただけたら嬉しいです。私は、〇〇〇〇と末永く暮らしていきたいんです。

回答
発作の直前に犬が飼い主の所へ来る現象は、はなにもありました。これは、犬がてんかんに慣れて、発作の直前に気づき、飼主に助けを求めるのだと思います。
発作が起こるとそれは次の発作を引き起こすようですね。できるだけ発作を起こさないようにすることが大切です。
発作は、大発作ですね。大体、はなの発作と同じですが、はなには発作時に失禁がありました。 はなの発作は、睡眠不足、ストレス、強い刺激(恐怖感や歓喜など)に誘発された様子はありませんでした。はなは、軽い発作時にお辞儀をする動作がありましたので、点頭てんかんと判断しました。その後、B6が効果がありましたので、当たっていたと思います。

現在のあなたの犬の治療方法は、鉄砲のめくら射ちです。有効な薬がみつかるまでの時間が無駄になり、その間てんかんが進行し小発作から大発作に移行しています。無駄な薬で犬の肝臓も負担を負います。脳波検査、発作の型を観察し、てんかんの種類を推測し、適切な薬を早く見つける必要があります。
それには、人間のてんかんについての医学文献(雑誌に最新の情報が多い)を探し、症状から発作の型を調べ、人間と同じ薬を使うとよいと思います。
獣医師を選ぶ場合、研究熱心な方がよいです。専門家のいる獣医大学附属の病院で看てもらうか、自分で人間のてんかんの文献を調べ、そのコピーを獣医師に見せ相談したらどうでしょう。
私は、はなの治療について、多くの獣医師と相談し、人間の医師にも相談しました。専門化されている人間の精神科の医師でさえ、てんかんの専門家でないと、てんかんの治療については詳しくありません。
従って、飼主が自分でも研究する必要があるでしょう。英語の得意な方は、インターネットで英語の文献も調べても、よいでしょう。専門用語は日本語の文献に出ています。1億よりも60億の世界から探す方が、より適切な治療方法を発見できるでしょう。
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