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Last updated 2021.9.12mf
弁護士費用(着手金・成功報酬)自動計算機
計算機 CGI
上の金額に消費税が加算されます。
この計算機は 、廃止された第二東京弁護士会報酬会規 17条に基づいて計算しています。
経済的利益の額の算定については弁護士報酬会規14条を参照してください。
着手金の最低額は10万円です(手形・小切手訴訟の場合は5万円)。
弁護士から過大な費用(料金)を請求された場合は、その弁護士が所属する 弁護士会 に対し、紛議調停の申立 (危険な弁護士 参照 )をして下さい。
債務整理などの弁護士費用については 債務整理および自己破産の弁護士費用 を読んでください 。
事件の種類別の弁護士費用については 弁護士費用の概略 を読んで下さい。
質問
500万円を請求する裁判の場合、弁護士会の旧
報酬規定17条では、着手金は、5%となっています。5%なら25万円ですね。しかし、弁護士費用計算機で計算すると、34万円と出てきます。なぜですか。
お答え:弁護士費用の計算方法
旧報酬規定17条の趣旨は、300万円までの部分は8%、300万円〜500万円の部分(200万円)については5%の意味です。
そこで、
経済的利益500万円を300万円の部分と200万円の部分に分けます。まず、300万円の部分の8%(24万円)を計算します。次に200万円の部分の5%(10万円)を計算し、両者を合算します。そうすると、合計34万円になります。
- 500万円を300万円と200万円に分ける
- 300万円×8%=24万円
- 200万円×5%=10万円
- 24万円+10万円=34万円
図示すると以下のようになります。
経済的利益合計→ | 500万円 |
経済的利益の中身 → | 300万円 |
200万円 |
着手金の中身 → | 8%(24万円) | 5%(10万円) |
弁護士費用の計算方法は、
弁護士会の旧報酬会規17条での弁護士費用の計算式 に基づいています。メモ
かっては、弁護士会が、報酬規則を制定し、会員弁護士に、規則に従うよう求めました。
そのため、規則は、独占禁止法に違反していると批判されました。
その結果、規則は、廃止されました。
しかし、多くの弁護士は、この規則を報酬基準として使っています。
実質的経済的利益
ここで言う経済的利益とは、名目的なものでなく、実質的な経済的利益です。弁護士が債務者から、債務弁済契約書をとっても、債務者の信用が低いとか、担保がないとか、保証人がついていないとかの場合は、弁済される見込みは低く、実質的な経済的
利益は額面通りではなく、低いです。
依頼者が得る経済的利益を基準とする弁護士費用
弁護士費用には、依頼者が得る経済的利益を基準とする算定方法と、
時間制(Time charge,1時間1万円から5万円位)の2つの算定方法があります。この計算機は、依頼者が得る利益を基準として弁護士費用を算出します。
依頼者が得る利益を基準とする場合は、支払い時期により、着手金と成功報酬にわかれます。
着手金は、請求する、あるいは、請求されている経済的利益の額、
成功報酬は、得られた経済的利益の額を基準として算定します。
1例として、裁判などで1000万円を請求する場合、経済的利益の額覧に 10000000 と入れ、計算 ボタンをクリックして下さい。着手金は59万円、成功した場合の報酬は118万円と表示されます。
弁護士会の報酬会規は 2004.4.1 に廃止され、弁護士費用(報酬)は、弁護士報酬契約書で自由に決めることができます。しかし、弁護士会の報酬規定廃止後も、多くの弁護士が、旧報酬規定を、報酬基準(相場)として使っています。
これは、原則で、実際の弁護士費用、特に着手金は標準額より低くし、その分、報酬を増額することが多いです。
着手金と報酬について、固定的金額を決める方法は、あくまで、標準的(常識的)な作業を前提とします。
弁護士に何でもやって欲しい場合は、時間制の報酬が適しています。その場合、相当な金額になることを覚悟する必要があります。
判例
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東京地方裁判所平成17年7月4日判決
(3)以上認定の事実によれば,本件本訴請求の経済的利益の価額は4億円であり,事件の処理により被告が確保した経済的利益の価額も4億円であると認められる。
一方,本件反訴請求の経済的利益の価額は,額面上は5億円であるけれども,その内容は,前記のとおり,不当訴訟,名誉毀損,誓約書違反を理由とするもの
であって,事案に鑑みて請求金額が著しく過大であるから,特別の事情がある場合として減額をすることとし,実質的な経済的利益の価額は,1000万円と見るのが
相当である。
そして,前記のとおり,本件本訴請求は,直接的な書証のない,1審,2審の結論の分かれる比較的難しい事件であったことが認められ,一方,控訴審では2
回の口頭弁論で比較的短期に終結していることが認められる。そして,これに加え,期間,処理方法,難易度,労力,依頼者との関係等では,特段,弁護士報酬規程を
増減すべき事情があるとまでは言えないから,基本的には弁護士報酬規程に則って,着手金,報酬額を算定するのが相当である。そうすると,本件第1審の着手金相当
額は1228万円,本件第2審の着手金相当額は1177万円,成功報酬相当額は,第1,2審を通じて,2456万円,以上合計4861万円が相当であると認めら
れる(甲15)。
(4)この点に関し,被告は,原告が第一審段階から,Eの報告書及びFの陳述書を提出していれば,被告は当初から勝訴しており,控訴の必要が無かった旨主張す
る。しかしながら,上記各書証が提出されていれば,第一審でも被告が勝訴したとまでは直ちに認めることができず,被告の主張は採用できない。
3 以上によれば,被告は,原告に対し,上記合計4861万円から,既払いの100万円を控除した4761万円を支払うべき義務があると認められる。
よって,原告の請求は,4761万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成16年4月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損
害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
-
東京地方裁判所平成15年2月28日判決
(2)そこで,原告が本件遺産分割事件を処理したことについて,相当な報酬額を算定することとする。
弁護士の報酬は,当該事件の処理によって受けた依頼者の実質的経済的利益を中心としつつ,当該事件の訴額(民事訴訟でない場合は,これに準じる事件の経済
的な大きさ),難易,係属年数(途中で交替した場合は,交替して以降の年数),弁護士が当該事件の処理のために費やした時間及び労力の程度,弁護士が当初受け取っ
た着手金の額その他諸般の事情を総合的に考慮して算定されるべきである。以上の算定基準に照らして,本件遺産分割事件について,遺産総額が約50億円という莫大な
金額であり,このうち被告が同事件の結果取得した遺産が8億4800万円であったこと,これに前記第2の1(4)オの弁護士報酬規則を適用して算出される報酬金額
は約1800万円となること,着手金として支払われていたのは合計600万円であったこと,当初山田弁護士が担当していた事件を原告が承継し,その後調停成立まで
2年数か月を要したこと,緻密な調査・打合せを頻繁に行った上漸く調停にこぎつけることができたという経緯,その他本訴において現れた一切の事情に加えて,前記弁護士報酬規定の趣旨を併せ考慮すると,本件遺産分割事件の処理について原告が取得すべき報酬の額は,1400万円が相当であると思料する。