イチゴツナギ科(イネ科)の特徴
  
 イチゴツナギ科の植物は、見た感じでだいたいわかります。それは、つぎのような特徴があるからです。
  
@  茎の切り口円形である。
A  葉が細長く、葉脈(ようみゃく)は平行脈である。
B  葉は、葉身(ようしん)と葉鞘(ようしょう)からなっており、葉鞘は茎をだいている
C  葉鞘の入り口には、葉舌葉耳をもつものがある。
D  花は目だたず、穂状花序(すいじょうかじょ)である。
E  小花(しょうか)は、めしべおしべ鱗被(りんぴ)、内穎(ないえい)、護穎(ごえい)から成り立つ。
F  めしべの柱頭(ちゅうとう)は、ひげ、または、ブラシ状になっており、風媒花(ふうばいか)である。
G  おしべは、ほとんどのものが3本で、まれに1〜2本や6本のものもある。
H  根は、ひげ根である。
I  1年生、多年生、木本などがある。冬、かれるもの、根が残るもの、まったく枯れないものがある。

 

@ 茎の切り口は円形である。
  これは、さわってみるとわかります。
  イチゴツナギ科と見かけが似ているカヤツリグサ科のものには、切り口が三角形のものがあります。
  カヤツリグサ科にも円形の切り口のものがありますから、円形だから、必ずイチゴツナギ科だというわけでもありません。

 

A 葉が細長く、葉脈(ようみゃく)は平行脈である。
 図のように細長い葉ですからすぐわかります。
 コブナグサのように比較的みじかいものから、ヨシやススキのようにかなり長いものまで、いろいろあります。
 葉脈(葉のすじ)は、たてに何本もとおっており、あみ目もようにはなっていません。
 このような葉をもつ種類を単子葉類(たんしようるい)といいます。

    

B 葉は、葉身(ようしん)と葉鞘(ようしょう)からなっており、葉鞘は茎をだいている。
 細長い葉の部分が葉身です。
 葉鞘というのは、刀の鞘(さや)のように茎をつつんでいるものです。
 葉鞘には、完全な筒形(ストローのようにたてに切れ目がないものを完筒形という)と、1枚の紙をまきつけたような形の2種類ある。
 イチゴツナギ科は、ほとんどがまきつけた形であるが、イヌムギのように完筒形もある。

   

C 葉鞘の入り口には、葉舌や葉耳をもつものがある。
 葉鞘の入り口のところを鞘口(しょうこう)といいます。
 鞘口には、葉舌(ようぜつ)がつきだしています。葉舌の舌はしたとも読み、口の中にあるベロのことです。葉のベロみたいだから葉舌というのですね。
 左はイヌムギで、もっとも葉舌らしい形をしています。
 右はオギで、葉舌が毛に変化しています。

 葉耳は、葉身が葉鞘につながるところで、耳たぶのようになったものをいいます。
 葉耳をもつものは、そう多くはありません。イグサ科にもありますから、イチゴツナギ科だけの特徴というわけではありませんが、見わけるときにはよい目印になります。

   

D 花は目だたず、穂状花序である。
 イチゴツナギ科の花序の基本は、穂状花序(すいじょうかじょ)です。穂(ほ)が組み合わさって、さらに、つぎのような形の花序になります。
主軸に小穂が列になってつく  分かれた枝に、小穂が列になってつく  円すい花序
 分かれた先に小穂をつける
 小穂に柄がほとんどなく、すき間なくつく  小穂は、円柱状につく
カモジグサ
ネズミムギ
メリケンカルカヤ
オギ
オヒシバ
ギョウギシバ
コブナグサ
ススキ
スズメノヒエ
トダシバ
ナルコビエ
メヒシバ
イヌムギ
オオクサキビ
カラスムギ
ヒメコバンソウ
ススメノカタビラ
スズメノチャヒキ
セイバンモロコシ
ヌカキビ
マコモ
ミゾイチゴツナギ
ヨシ
イヌビエ
カズノコグサ
クサヨシ
ヒエガエリ
アワ
エノコログサ
スズメノテッポウ
セトガヤ
チカラシバ
チガヤ
ミノボロ

      

 それぞれの花序は、左図のような小穂(しょうすい)が集まってできています。
 小穂の基部には、包穎(ほうえい)があります。
 小穂の中の1つ1つが小花(しょうか)とよばれるものです。1個の小花で小穂をつくっているものもあれば、いくつもの小花が集まって小穂をつくっているものもあります。
 見分け方は、下図を参考にしてください。
 包穎があることから、1個の小花からなる小穂であることがわかります。  包穎がないことから、小穂ではなく、小花であることがわかります。
 エノコログサのように、もともとは2個の小花からなる小穂であったが、そのうちの1個の小花が退化して護穎だけが残り、退化してない小花の護穎とさらに2枚の包穎、内穎、あわせて5枚の穎が観察できるものがあります。これらの包穎、護穎を外側から第1穎、第2穎・・・・のようによびます。(護穎、内穎については、つぎの項Eで学習してください)

 

     

E 小花は、めしべ、おしべ、りん皮、内穎、護穎から成り立つ。
 カモジグサのようにいくつかの小花が集まって小穂をつくっているものがあります。
 写真は、小穂から1番下の小花を残して、あとの小花をとりのぞいたものです。小穂をたばねる長い包穎(ほうえい)が2個あります。
   
 包穎をとりのぞいたものです。これが小花です。
 小花の1番外側が護穎(ごえい)です。護穎には、のぎという針のようなものがついています。のぎがないものもあります。
  
 うらがえすと、護穎の反対側に内穎(ないえい)が見えます。おしべやめしべは、この内穎に半分つつまれるようについています。
  
 チカラシバは、カモジグサとは異(こと)なっています。
 2つの小花のうち1つが退化して、護穎(第3穎)だけが残ったので、退化しない小花の護穎(第4穎)と2つの護穎があります。
 第1穎は包穎がかすかに残っており、第2穎は小さいですが包穎です。
 チカラシバのすべての穎をとりのぞいたものです。
 子房の基部に2枚のりん皮(または鱗被)というものがあります。これは、2枚の花被片が退化したものです。
 子房からは2本の花柱が出て、柱頭は多数の毛に枝分かれしています。
 おしべは、3本あります。

   

F めしべの柱頭は、ひげ、または、ブラシ状になっており、風媒花(ふうばいか)である。
 左はシマスズメノヒエの小穂です。
 うすい膜状の包穎の下に護穎と内穎があり、それらの穎のすきまからブラシのようなめしべを出しています。
 イチゴツナギ科は風媒花(ふうばいか)です。花粉が風に運ばれ種類を風媒花といい、昆虫が花粉を運ぶ種類を虫媒花(ちゅうばいか)といいます。
 柱頭に毛がたくさん生えていることが、花粉をとらえやすいしくみになったいるのです。 

 

G  おしべは、ほとんどのものが3本で、まれに1〜2本や6本のものもある。
 左の写真は、ネズミムギの穎をとりのぞいたものです。
 黄色いやくをもつおしべが3個あります。まるい白いところは子房です。子房からは、白い毛のような柱頭が出ています。
 イチゴツナギ科のほとんどの種は、3本のおしべですが、イネやマコモのように6本のおしべをもつものも少しはあります。
 むずかしい図鑑に雄蕊(ゆうずい)と書いてあるのは、おしべのことです。

 

H 根は、ひげ根である。
単子葉類 双子葉類  イチゴツナギ科は単子葉類ですから、根はひげ根です。
 同じくらいの太さの根がもじゃもじゃと生えています。
 これに対して、あみ目もような葉をもつ双子葉類の根は、木の枝のように太い根から細い根が枝分かれしています。
 このような根を主根・側根(しゅこん・そっこん)といいます。
 ひげ根は、主根・側根のように深く根を下ろすことはありません。比較的浅いのです。
ひげ根 主根・側根

   

I 1年生、多年生、木本などがある。冬、かれるもの、根が残るもの、まったく枯れないものがある。
 冬は気温が下がり、植物にとって過ごしやすいものではありません。
 どうやって冬を過ごすか?
 これは大きな問題です。
 けなげにも、そのままのすがたで冬をこす植物もいますが、少ないでしょう。
 ロゼットいう形になって冬をこすものもいます。
 ロゼットというのは、タンポポのように放射状に広がって土にへばりついているものです。
 地上部が枯れて、根だけが生き残るものもあります。
 イチゴツナギ科は、どうやって冬をこすのでしょうか?
 3つのタイプがあります。 
@


A

B
 地上部も根もすべて枯れてしまい、種子だけが残って次の世代に命をたくすもの。小型のものに多い。
 地上部は枯れ、地下茎と根(根茎)が残るもの。ススキなど。
 地上部も地下部もすべて残るもの。タケのなかまなど。
 タケって広い意味では、イチゴツナギ科のしんせきなんです。
 土の中に地下茎がとおっています。その地下茎からタケノコがのびてタケになるんですが、地下茎は茎ですから、そこからのびてくるタケは茎ではなく、葉柄なのです。
 だから、1本のタケは1枚の巨大な葉に相当するのです。びっくりですね。