オランダハッカ

 中核真双子葉植物 シソ群 シソ目 シソ科 ハッカ属 (APG分類体系)

 学名  Mentha spicata L.
 オランダという名がついていることから、江戸時代にやってきたことが想像されます。外国から来たものが野生化したものを帰化植物といいます。
 ほかにオランダがつく草本に、オランダイチゴ、オランダガラシ、オランダマゴヤシ(シロツメクサの別名)、オランダミミナグサ などがあります。 
 
 花は、茎の先端に輪状の穂になってつきます。

 
 香料で有名なハッカは、オランダハッカとちがい、花が葉のつけ根に輪生すること、葉がでこぼこしていないことなどがあげられます。
 

 白い毛のようなものは、おしべとめしべです。
 下のほうから順に咲いていきます。 
 上のほうは、まだつぼみですが、下のほうは、すでにしおれています。 

 
 おしべやめしべは、かなり長く、花冠(かかん)から飛び出しているように見えます。
 花序(かじょ)は、(くき)のまわりに()のようにつくから、輪生(りんせい)です。
 輪生の花序が何段にもなってつづいています。
 初めは密になっていますが、果実になるころには、段と段の間がのびていきます。
 
 小さい花が密集しています。
 花を見ると、雄しべが長く、花冠から突き出して毛のように見えるのが特徴です。
 

 がくは5(れつ)しています。
 シソ科は、もともと5数性(すうせい)の花でしたが、1本のおしべが退化し、消失しました。花弁も大きく変化し、ハッカ属ではシソ科の大きな特徴である二唇形から管状の放射形に変形しています。
 がくを見なければ、4数性の花とまちがえるかもしれません。
 おしべは4本です。同じシソ科でも、オドリコソウ属など他の属は、長短2本ずつのおしべが多いのですが、ハッカ属は4本とも同じ長さです。 
 シソ科の花冠(かかん)は、花弁を(くちびる)にたとえて、二唇形(にしんけい)と呼ばれていますが、ハッカ属の花冠は管状で、大きく4つに()けています。
 
 おしべは、(やく)花糸(かし)から成り立っています。
 葯は2個の葯室が平行に並んでいます。
 2個の葯室は、花糸の先端(せんたん)が変化した部分についています。その部分を2つの葯室の間という意味から、葯隔(やくかく)と呼ぶようにしています。
 写真では葯室が開いている状態で、花粉があふれそうです。
 
 上のほうから見ると、こんなふうに見えます。
 右側の葯室は開きかけており、左側の葯室は開いた後、たくさんの花粉で葯が見えなくなったようです。
 
 めしべは、胚珠(はいしゅ)(成熟後種子になる)がつくられる子房と花柱(かちゅう)柱頭(ちゅうとう)から成り立っています。
 シソ科の柱頭の特徴は、先端が2つに裂けている点です。
 
 茎には毛が生えており、切り口は、シソ科特有の四角です。
 葉は、シソとアジサイを足したような感じがします。ハッカ属の中では、葉脈のでこぼこが特に大きく、ちぢれた感じがします。
 葉のつきかたは、互いに向かい合ってついているから対生(たいせい)です。
 
 葉の裏側(うらがわ)を見ると、葉脈が派手(はで)()き上がって見えます。
 オランダハッカは、帰化植物です。
 もともとは江戸時代に導入された栽培種(さいばいしゅ)だったのが、いつの間にか野生化したようです。
 ヨウシュハッカは、ペパーミントと呼ばれ、オランダハッカを含むミドリハッカのなかまをスペアミントと呼んでいます。
 帰化植物ではない日本のハッカもあります。和名はただのハッカです。外国の安いハッカに押され、現在では、あまり栽培されていないようです。