オオアブノメ |
中核真双子葉植物 シソ群 シソ目 オオバコ科 オオアブノメ属 (APG分類体系) |
学名 Gratiola japonica Miq. |
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オオアブノメは、 抽水植物というのは、水底に根を張り、からだの大部分は水面上に出ているもののことをいいます。 葉の オオアブノメは、それより大きなものという意味ですが、同じ属ではありません。花の形がだいぶ異なります。 |
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葉のつき方は、向かい合って対をなしていますから対生です。 葉のつけ根( 花のつけ根には、小さな葉が2枚ついています。これは 大きな葉が本葉で、3つの脈が目立ちます。 葉の |
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花を横から見ると、花冠の下部がやや長い筒状になっていることに気づきます。 花冠は、5個のがく片に包まれています。 花冠の形は、ゴマノハグサ科やシソ科に見られる |
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左右 それは、花冠をなかなか開いてくれないからです。 まったく開かない |
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5枚の花弁ということはわかりますが、二唇形というのは、花冠を広げてみないとわかりにくいかもしれません。 中に何かが、少し見えます。 黄色いのは、おしべの葯でしょう。 花冠を広げて中を観察してみます。 |
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おしべが見つかりました。 花糸の先に2個のやく室がついています。 いちおう平行についてはいますが、2個のやく室の間が少しはなれています。また、みょうに |
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なんとなく、形がふつうの葯とは異なるように思えます。 やく室が、素直に平行になっていないせいでしょうか。 白い花粉がたくさん出ています。 オオバコ科のおしべは、ふつう長短2本ずつの4本です。 しかし、オオアブノメのおしべは2本しか見あたりません。 2本不足しています。 いったい、どうなっているのでしょう。 |
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観察していると、左の写真のようなものが見つかりました。 どうも、不足していた2本のおしべのようです。 オオアブノメのおしべは、2本が退化して、花粉をつくる能力のない仮おしべになっていたのです。 ほんらい、5数性の花であるゴマノハグサ科のおしべは、1本が退化し4本になり、オオアブノメ属では、さらに2本が退化して正常なおしべは2本になってしまったわけです。 同じゴマノハグサ科のクワガタソウ属(オオイヌノフグリが有名)もおしべは2本です。そちらは仮おしべもありません。 |
左の写真の仮おしべのまわりのようすが気になります。 もう少し調べてみましょう。 |
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仮おしべの後ろに見えたのは、花冠の内側でした。なにやら、細長い突起物がたくさん見えます。 これは、顕微鏡で観察したものですから、肉眼で見れば毛のように見えるはずです。 花冠がちゃんと開かず、細い毛がたくさん生えていることから想像できることは何でしょう。 害虫対策でしょうね。 アブノメなのに昆虫をきらいます。 自家受粉のほうが好きなのかしら。 |
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花冠の内側の細胞です。 ふつうの表皮細胞のように平面的ではありません。 何かしら意味があるのでしょうが、わかりません。 みなさんも考えてみてください。答えが出なくても、考えれば考えるほど脳が活性化して頭がよくなるそうですよ。 |
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めしべです。 大きな子房に小さな柱頭です。 この大きな子房が果実になり、アブの目のようになるのです。 |
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子房をたてに切ってみました。 中には、細かい胚珠がたくさん入っています。 ここが、シソ科との大きなちがいです。シソ科は、胚珠が4個しかありません。 胚珠の数は、少ないほど進化していると考えられています。 |
科は、シソ科ほど進化が進んでいるわけではないということです。 |
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柱頭も、花粉をとらえるのに都合よく進化しているとは思えません。 ゴマノハグサ科は、進化が進んでいるといわれる真キク類Tのなかまですから、植物全体の中では進化しているほうといえますが、真キク類Tのグループの中では、古いタイプというところかな。 ちなみに、最も進化しているといわれているなかまは、真キク類Uで、キク科やセリ科があります。 |
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オオアブノメの名前のいわれになった果実です。 まだ果実にはなっていないから、子房といったほうがよいかもしれません。 対生の葉が羽みたいに見え、2つの果実が目玉に見えるようすから、アブの目という名称が生まれました。 |
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花冠が茶色くなっていますが、なかなか落ちません。 果実のまわりに小さな葉のようながく片が5枚観察できます。 ひとまわり大きい葉は、苞葉です。 オオアブノメは、絶滅危惧種U類に指定されています。Vu(Vulnerable)と記されることもあります。 4つのランクのうち3つ目です。 「絶滅の危険が増大している種」 Vuは、自分より強い集団に対して弱いという意味です。 |
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