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天体望遠鏡ガイド


これから天体望遠鏡を購入される方のために簡単なガイドを用意しました。
少しでも参考にしていただき、これから先もっともっと星空の世界を満喫していた抱ければ幸いです。


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1.天体望遠鏡の種類

天体望遠鏡は光を集める部分(鏡筒部)と動かす台(架台)によって次の4つに分けられます。

 @ 屈折式望遠鏡

凸レンズを利用して光を集めるタイプの望遠鏡です。光を集めるレンズのことを対物レンズといいます。
対物レンズは色収差(色のにじみ)を少なくするため、凸レンズと凹レンズを組み合わせたアクロマートレンズが一般的です。

  特長

  • 像全体が安定しているため、惑星(火星、木星、土星)などの観測に向いています。
  • 光軸のズレも起こりにくく、調整の必要もないため初心者向きです。

 A反射式望遠鏡

凹面鏡を利用して光を集めるタイプの望遠鏡です。光を集める鏡のことを主鏡といいます。
主鏡には球面収差(像のゆがみ)を補正した放物面鏡が一般的です。

  特長

  • 色収差がなく、屈折式に比べ像がシャープに見えます。ただし、光路が外気にさらされるため筒内気流が発生し、像がすぐ安定しません。観測前に1時間ほど外に置いてなじませる必要があります。
  • 屈折式に比べ大口径ののものが安く手に入ります。
  • 月面や星雲、星団、彗星の観測に向いています。
  • 移動時の衝撃で光軸が狂うことがあります。そのときは取扱説明書に従い調整します。

 B経緯台

鏡筒を上下・水平に動かして星を追う架台です。星を追うことのできる上下・水平微動装置付きがおすすめです。

  特長

  • 構造が簡単なため組立が容易で、面倒な初期設定が必要ないため初心者には最適です。
  • 高倍率(80×以上)での観測や長時間の観測には、星を追うことが大変なためあまり向きません。
  • 安いものは安定性に欠け、使いものになりません。多少高くてもしっかりしたものを買いましょう。

 C赤道儀

移動軸を傾けることにより、星の動きにあわせ星を追えるようにした架台です。極軸合わせが容易な極軸望遠鏡内蔵タイプがおすすめです。

  特長

  • 北極星の方向に架台に向きを調整(極軸調整)する必要があります。望遠鏡の場所を決めたら動かすことができませんので、見晴らしの良いしっかりした場所に設置する必要があります。
  • 赤道儀構造と星の動き、北極星の位置のわかる中級者向けです。わからない人は実際に星をみて勉強した上で買うことをおすすめします。
  • 1度極軸を合わせればハンドル(赤経ハンドル)を廻すだけで目的の星を追うことができます。
  • 高倍率での観測や長時間の観測に非常に楽に行えます。
  • モータドライブを使用することにより、自動で星を追うことができます。
  • 長時間露出をかける天体写真の撮影には必ず必要です。


2.天体望遠鏡の性能

初心者の方で望遠鏡の性能を聞かれるとき倍率は何倍ですか?とよく質問されます。確かに倍率は重要なファクタではありますがもっと重要なことがあります。それはどこまでハッキリ見えるかということです。ハッキリ見るためには対物レンズや主鏡の有効経(口径)を大きくして、光をたくさん集める必要があります。

 @ 性能をあらわす数値

望遠鏡の性能をあらわす数値には有効径、倍率、口径比(F)、集光力、分解能、極限等級があります。

 a.有効径

  • 対物レンズ(主鏡)で集光させるために用いられる部分の直径のことです。

 b.倍率

  • 倍率は対物レンズ(主鏡)の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離でもとめます。
  • むやみに倍率を上げても像が大きくなるだけでハッキリ見ることはできません。ハッキリみたい場合は有効倍率(有効径oと同値)で、最高に上げても有効最高倍率(有効径の2.5倍)にとどめましょう。

 c.口径比(F)

  • 対物レンズ(主鏡)の有効径と焦点距離の比のことです。
  • 屈折望遠鏡でF=8〜15、反射望遠鏡でF=5〜10です。

 d.集光力

  • 人の目に比べてどれぐらい光を集められるか計算した値です。
  • 有効経÷人の瞳径(通常7oで計算)を2乗してもとめます。

 e.分解能

  • どのくらい細かいところまで見分けられるかをあらわした値です。有効径が大きいほど良くなります。

 f.極限等級

  • 何等星の星まで見ることができるかをあらわした値です。有効径が大きいほど良くなります。