都電の痕跡2
都電の痕跡その2です。都内を網羅していた都電の痕跡を見つけることは非常に困難です。特に併用軌道区間は、道路幅の変更や再開発によって、かつての面影はほとんどありません。専用軌道跡についても、道路に転用されていたり、建物の敷地となってしまっていて、痕跡を追うのは非常に難しい状態です。「ここが専用軌道だったかもしれない・・・」。そんな推測の上で撮影した箇所も含め、第二段として、都内で見つけた痕跡を掲載します。
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大塚公園の6162号
大塚公園に眠る6162号です。現在、都電荒川線で唯一動態保存されている6152号と同じく、昭和24年に製造された6000形車両です。青山・大久保・荒川・錦糸堀車庫と巡り、昭和46年に廃車となりました。現在は、車内での喫煙等、非行防止のため、写真のように金網の中にひっそりと保存されています。帯の色が青(6000形は最後まで赤帯でした)であること、方向幕が埋められていることが残念です。
板橋交通公園の7508号
板橋交通公園に保存されている、7508号です。7500形は全車青山車庫に配属されていましたが、都電の廃止が始まると、荒川車庫へ移動しました。写真の7508号は昭和43年に荒川車庫へ移動し、荒川線を除く全ての都電廃止後も荒川線で活躍しました。昭和52年には、荒川線のワンマン化に伴い、一時更新の改造が施されました。その際、帯の色は写真の青帯へ変更されています。ちなみに、現在荒川線で活躍している7500形は二次更新後の姿です。
7508号の運転台です。基本的には原型(改造前の状態)とさほど変化はありませんが、ワンマン機器が設置されています。また、3枚窓の真ん中、一番大きな窓は1枚窓に変更されています。なお、改造前の7500形(原型)については、前項「東京たてもの園」の7500形をご覧ください。

その他の画像→画像1画像2
池之端〜上野公園専用軌道跡
池之端七軒町(現在の池之端二丁目)〜上野公園までの間、都電(20・37・46系統)は不忍池を半周する形で専用軌道を走っていたようです。春には桜、夏には蓮、冬は水鳥など、気分は小旅行。都電にしては車窓風景がすばらしい箇所だったようです。現在はまったく面影がなく、左の画像は池之端二丁目。不忍通りから専用軌道へ向かう分岐点付近と思われます。
画面中央付近、「グリーンクラブ」の看板と桜の木付近から専用軌道が始まっていたものと思われます。現在は上野グリーンクラブの敷地内になっているようで、専用軌道跡をたどることはできませんでした。専用軌道はこの先、上野動物園・上野公園の敷地内を通っていたようです。
上野公園側の専用軌道入口と思われる場所です。対比画像がないためなんともいえませんが、恐らく現在の上野公園入口付近から専用軌道に入っていたものと思われます。今は公園の入口なのでここが専用軌道だったのか判断することは難しいのですが、道路に対しての入口の角度が専用軌道跡を連想させます。
万世橋の架線柱
秋葉原の電気街の近く、交通博物館の近くの万世橋付近には、今もなお、当時のままの姿で都電の架線柱が立っています。特に再利用されているわけでもなく、ただ、そこに立っているだけの架線柱です。万世橋付近は都電の巣窟で、特に須田町交差点には実に10系統もの都電が集まっていました。この架線柱も当時、多くの都電を支えてきたのでしょう。都電が消えてからもずっと、この架線柱は代わり行く町並みを見てきたにちがいありません。ちなみに、画面右には旧甲武鉄道の万世橋駅跡地があります。駅舎跡地は交通博物館になっていますが、中央線に乗ると、今でも花壇になったホーム後を見ることができます。

その他の画像
広尾電車営業所跡
現在の都営バス天現寺橋(都06・品97・橋86・黒77)、及び広尾病院前(都06)停留所が近くにある天現寺交差点の一角には、昭和44年10月頃まで都電の「広尾電車営業所」がありました。受け持っていた系統は7系統(四谷三丁目ー天現寺橋ー品川駅前)、8系統(中目黒ー桜田門ー築地) 33系統(四谷三丁目ー六本木ー浜松町一丁目)、34系統(渋谷駅前ー古川橋ー金杉橋)でした。現在、営業所跡地には都営アパートが建っていて、当時の面影を忍ぶことはできませんが、アパート横にある公園の一角に、画像(上)の案何板があり、ここが都電の営業所であったことが書かれています。
なお、下の画像は現在建っている都営アパートの全景で、アパートの右側の道の奥が西麻布方向。手前の道が明治通りで左が渋谷方向です。

その他の画像(広尾公園)
飛鳥山公園の6080号
都電荒川線の飛鳥山電停の近くに、桜の名所として知られる飛鳥山公園があります。ここには、晩年を荒川車庫で過ごした6080号が保存されています。残念なことに、保存状態は最悪で、乗降扉は壊れ、所々窓が割れていました(補強されていますが)。
飛鳥山公園の麓には、唯一の都電として今日も活躍する、都電荒川線が走っています。日曜日になると、これまた唯一動く6000形、6152号も時折姿を見せます。そんな場所にありながら、この6080号の姿は、あまりにも哀れすぎます。6080と6152。共に晩年を荒川車庫で過ごしながら、この差はむごすぎるような気もします。もう少し大切に、この貴重な車両を扱ってほしいと思います。
他の画像(
府中市立交通遊園の6191号
東京都府中市にある「府中市交通遊園」に、静かに保存されている都電6000形「6191」号です。保存状態は悪く、飛鳥山公園の6080号と同じように、野ざらしにされていて、とても悲惨な状態でした。都電を支えてきた車両なだけに、もっと丁寧に扱ってほしいです。せっかく東京都交通局から譲り受け、静態保存という形をとっても、これでは車両がかわいそうな気がします。

そのたの画像→画像1画像2画像3

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