エタンプ、イル・ド・フランスの古い街から谷を巡るサイクルツーリング 

 (2009年12月12日、フランス、イル・ド・フランス地域圏)


毎月のとおりIさんとサイクリング。IGN(フランス地理院)から発行されているイル・ド・フランス地域のサイクリング地図からコースを参考にします。短い日照時間の冬のヨーロッパではショートコースのサイクリングに限ります。100以上のコースが紹介されているこのガイドから何処を選びましょうか。

8月に行ったオルレアンへのサイクリングの帰路、パリ行きの特急列車で通過した再に見たエタンプ (Etampes) の街の風景が印象に残っていました。そんな事もありこのガイドから、エタンプ周辺のコースを選びます。エタンプはパリの南約50kmにある古い街です。Wikepediaによると7世紀初頭から街になっていたとの由。

パリ市内でIさんをピックアップしエタンプまで車で。街にはWEBでみた大きな教会に古い城跡もあります。街の中心地外れに駐車。ガイドブックのコースによるとここから南は谷を源流近くまで遡ると言うのが今日のルートです。谷は途中で逆Y字がたに左右に分かれ、それぞれの源流付近まで三角形のコース取りです。 Iさんはこれまでのビアンキのクロスバイクではなく、日本から持ってきたと言うロードバイクです。少し試乗させてもらいましたが軽くてクイック。自分の自転車より3kg、4kgは軽いのではないでしょうか。これならどこまでも走っていけそうです。

Juine川に沿って南下します。しばらく大きな邸宅が続きます。パリよりは各段に地価が安いでしょうが、それにしても大きな庭でしかも整備されています。裕福な層が住む町なのかもしれません。緑豊かな川沿い。川といってもその幅は数メートル。小川です。これに沿って源流付近まで遡ります。日本の場合、こんな程度の沢でも護岸工事でしょう。川を「整備」するのが大好きです。フランスでは大きな川でも川岸もありのままで多くの自然が残ります。

源流付近では谷が狭まり一気に約50m程度の登りで台地の上まで道が続いていました。上りきるともうそこは一面大地でむやみに広いだけ。Fontenetteという村。沢の源流を探したかったのですが左手の広大な畑地の中に踏み入る道はありません。地図上にはこの先進行方向にも更に細道があるのですがここで道路は消滅していました。あとは畑の中の作業道があるのみ。ここ数日の天気で泥だらけのあぜ道です。引き返すことにします。

Fontenetteの村から一度もと来た道を3kmほど戻り今度は南西に進みます。何も無い畑の中をひたすら走るうちに北の空が急に暗くなってきて寒気が入ってきました。吹っきさらしの大地は辛い。体感温度は急に下がり2、3度、と言ったところでしょうか。鼻水が止まらなくなり苦労します。

Merevilleの街にて。ここが今回のコースの南端です。昼食のパンを買い忘れていたのでパン屋を探しますが集落に唯一あった店は昼休みで閉まっています。パン屋も昼休みをとる・・・、フランスの田舎町では良くあるパターンです。Iさんが少し先にカフェを見つけました。やった・・。ところがカフェは、これまたフランスの場末に良くありがちのカフェで、店内にロトくじ販売機があり、暇そうな男達がビールやスピリッツを真昼間から飲んでいる、というもの。思いっきり居心地が悪いそうです。食べ物は無い、と無愛想な主人。ですが、まずは食べ物よりもとにかく暖かい物が飲みたい。カフェクレームを注文しほっと一息。とにかく暖かいコーヒーに体が生き返ります。

コース最南端のこの街からは川に沿ってエタンプの街まで戻るだけです。途中で地図に  Ancienne Romaine と書かれたいわくありそうな道があります。古代ローマ道? 何か石畳、ローマ遺跡が残っているのか。これを探るべくSaclasの村から川沿いのルートを離れます。沢筋を離れて道は100m近く登っていきます。再び広大な畑の中を行く一本道です。これの何処がローマ古道なのか。大地は例によって風が吹きつけ、しかもあろうことか暗くなった空からは雨が叩きつけてきました。サイクリングなのか、修行なのか、わからなくなってきます。風の少ない谷筋の道をそのまま選ぶべきでしたが仕方ありません。とにかく漕ぎとおして、エタンプの街が見えたときはほっとしました。

街のマクドナルドで遅い昼食。走行距離45km。今年最後のサイクリングも無事終了。Iさん、ご苦労様でした。

(川沿いの集落の教会にて) (小川に沿って走った) (大地の上で道は途切れていた) (カフェで、ともかくほっとした) (これがローマ古道か・・)

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