充実の笹尾根

(1996/12/30、東京都西多摩郡、山梨県北都留郡)


1996年最後の山、朝4時起きして気合をいれて奥多摩は笹尾根の未踏破区間を目指す。三頭山から生藤山まで続く長い笹尾根のうち丸山と三国山の間をまだ歩いていない。ここを歩けば、丹沢から奥多摩へ、自分の歩いた足跡が一本の長い線としてつながるのだ。山中湖東端の街・平野から菰釣山・畦ケ丸といった西丹沢主脈を経て檜洞丸から蛭ケ岳といった丹沢の核心部へ。そこから北に石砂山、石老山へと、更に奥高尾の縦走路を経て三国山まで自分の足跡が伸びている。一方笹尾根では丸山から三頭山へ。そしてそこから御前山を経て奥多摩駅へ。奥多摩駅からは長い石尾根を辿り雲取山、そこからは奥秩父の世界。甲武信岳まではすでに歩いている。平野は山梨県南部、甲武信岳は長野県南部。山梨県南部から神奈川・東京・山梨県北部を経て長野県の最南端まで、ぐるりと辿る。最初は細切れだったそんな自分の足で引いてきた小さな線が一本につながるというのはいかにも痛快だ。今日、丸山と三国山の間を歩きつないで、それを叶える・・。

(稜線まで後少し。静かな師走の山)
(軍刀利神社。大きな御神木を前に
明日の大晦日は賑うのだろう)

閑散とした師走の五日市駅の早朝、窓硝子が凍った始発バスに揺られる。車中の客はわずか数人。物好きな登山客は私以外は居ない。笛吹で下車して南斜面に付いた集落を登っていく。段段畑の中を縫って歩くと民家の裏手から登山道に導かれる。これを登るあたりから日差しが暖かくなり山もようやく目覚めたという雰囲気だ。三頭山、御前山、石尾根などを疎林ごしに眺めながら登る。すべて歩いた事のある山々達だ。

丸山に登りつく。静かな山頂は昨年訪れたときのままだ。一服して笹尾根南下を開始する。笹尾根は静かで、随所に古道の面影を感じる。峠ごとに安置されている風化しかけた石仏、馬頭観音など・・。たんたんと歩く。土俵岳はこれといった特徴の無いピークだがここで小休止。というのもアマチュア無線という一仕事があるからだ。ダイポールアンテナをセットしてピコ6をつなげる。この時期50MHzは閑散な時期だがそこは多くの人も仕事納めを終えた12月30日、そこそこに声がかかる。昨晩自宅からつながったJI1TLL・須崎さんが今日も雲取山から声を出しており無事につながる。

再び静かな尾根歩き。ここまで会った人は2、3人のみ。浅間峠から先は小さなピークの登り下りが多く疲れる。ハンタ−と猟犬の声が近づくと熊倉山で目指す三国山はすぐ目の前だ。

やった、ゴールは目の前。気がはやる。一旦もどかしい下り坂をおり登りかえす。ついに到達!これで丹沢と甲武信岳までの足跡がつながった。細切れの線が一本になった!自分にこんな事が出来るなんて思ってもいなかった。達成感が大きい。又これで今年は年間毎月山行を達成。大切に持ってきた小さな缶ビ−ルで一人祝杯をあげた。

立派な軍刀利神社で来る年も良き一年であることを祈願して、西日で赤く染まった井戸の集落へおりる。のどかで静かな、しかし充実感にあふれた山行は一年の終わりをしめくくるのにふさわしかった。

(コースタイム:笛吹入口7:57−丸山9:00/9:20−土俵岳・アマ無線10:08/11:40−浅間峠12:25/12:35−三国山・アマ無線15;15−軍刀利神社15:50−石楯尾神社16:30)


アマチュア無線運用の記録

土俵岳 1005m 
山梨県北都留郡上野原町
50MHzSSB運用、12局運用、最長距離交信、茨城県ひたちなか市
ミズホ、MX6S(1W)+ダイポール
三国山 960m
神奈川県津久井郡藤野町
50MHzSSB運用、5局運用、最長距離交信、静岡県庵原郡
ミズホ、MX6S(1W)+ダイポール

Copyright:7M3LKF,Y.Zushi, 2000/6/24


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