再び、大山

(1994/11/27、神奈川県伊勢原市)


前回の大山登山は懐かしの山頂へ20年ぶりに再訪した、という意味では意義が深かったが肝心のアマチュア無線運用は満足の行くものではなかった。平日の移動、それに50メガでは致命的なホイップアンテナ・・。今度こそ装備・計画を万全にしロケの素晴らしさを享受したい。幸いな事に11月に入ってからはケンウッド社がQSOパーティを実施している事もありアマチュア無線全般のアクティビティもぐーんと上がっていた。50メガとて例外ではなく夏場と同じくらいにバンド内は賑っていた。天候も安定しておりまさに山岳移動にはもってこいの季節であった。よし、いざ行かん、大山へ。エンジョイするのだ。

ヤビツ峠の前回と同じ場所に車を停め歩きはじめる。イタツミ尾根は大山山頂へは最短コースである。霜柱が踏まれてぬかるんでいる。滑りやすいので避けて通る。ぐんぐん高度を稼ぐ。振向けば早くも雪化粧した富士とその右手に塔ノ岳から丹沢山への主脈縦走路が長く立派だ。ああこの眺め、この空気。丹沢っていいなぁ。あの尾根をまた辿りたい・・。

前回もそうだが今回の目的もアマチュア無線運用。だから早く運用開始したい。気が焦る。ケーブルからの表参道をあわせ山頂までは一投足。山頂に着いて驚いた。凄い人出だ。おまけに前回は閉じていた阿夫利神社奥社も今日は「開店」しており、この人手はそのおかげもあるのか。まぁ無理もない、素晴らしい秋晴の週末だ。皆山に来たいのだ。しかしこんな衆人環視の中で無線するのはハズカシイナァ。

出来るだけ目立たぬ所とうろうろするがどこもかしこも人・ヒト・ひと。勇を鼓して一角に座り込みポールを立てアンテナを伸ばした。ダイポールアンテナは簡単だがさすがに水平偏波ということもあり飛びの良さはホイップの比較にならない。ポールが低いのですぐ側に座っている人にアンテナの先端があたりそうで恐い。怪我させてはならぬがむしろSWRの悪化が心配だ。あぁ障害物は邪魔だなぁ。もう少し離れてくれないかなぁ・・。無線家の思考は一般人とは違うようだ。SWRの悪化が気になるとは・・・。

CQを出す。こちらは1W出力にダイポールという非力な設備だが途切れることなく呼ばれる。さすがに大山はロケが良い。関東平野一円から万遍なく呼ばれる。気分がいい。これこれ、これだよ、と独りほくそ笑む。回りの人が何をやっているのかと覗き込むが運用に熱中するうちに周囲の目はいっさい気にならなくなった。

2時間半の無線運用で56局と交信。ずいぶんと交信した。無線ずくしだ。結果に大満足して無線は終了。喉が渇いたので自販機でジュースを求める。少し熱中しすぎただろうか、変な人と回りに思われてはいないか・・、急に恥ずかしくなり帰り支度をする。まぁいいか。満足した気持ちで山頂を後にした。

(終り)


大山 1251m 神奈川県伊勢原市・秦野市 1994/11/27

無線機: ミズホMX6S(1W) アンテナ:ダイポール
交信局数 56局(SSB) 最長距離交信 群馬県太田市、JS1TAL/1

丹沢表側に大きく立つピーク。山頂からの展望はすばらしく関東平野一円が広がる。ただし人気の山なので山頂はいつも人だかりがしている。またポールを立てる場所にも苦労する。(適当な添え木がない。)週末ここで大きなアンテナで運用するのはかなり難しいかもしれない。山頂から一段東側に下がった広場の方が人が少ない。又、西側に関してのロケは良くないように思えた。

山頂には阿夫利神社奥社があり、ジュースの自販機がある。またなぜか立派な水洗便所まであるという至れり尽くせりさ。

(いかにも電波の飛びそうな大展望の山頂)

Copyright : 7M3LKF,YZushi, 1998/10/7