北アルプス前衛、焼岳へ 

 (2014年8月13日、長野県松本市)


お盆休みになりましたが天気予報は今日以外はずっと雨・曇りの予想。おまけに急遽連休中土曜日に出社することが決まってしまい、時間が充分取れなくなりました。仕方なく予定していた唐松−五竜岳縦走の予定を急遽変更し、日帰りで登れる北アの前衛峰、焼岳を目指すこととしました。予備日も取れず、また雨の中の縦走は勘弁です。

今朝3時に家を出て、上高地入り口、中の湯到着は7時40分。登山者で鈴なりの路肩に辛うじて駐車スペースを見つけます。小学2,3年頃の小さな 男の子を連れた40代と思しき男性がいたので登山口で写真を取ってあげます。話を聞けばもう5日前から北ア入りしており、薬師、黒部五郎、鷲羽、 水晶と台風の中を4山稼いできたというからすごい話です。唯一の好天の今日に最後に焼岳ということ。

彼らを見送り樹林帯へ足を入れます。すぐに木の根の出っ張った急登になります。ゴールデンウィークの会津駒以来の、約3ヶ月ぶりの登山。さぼって いただけあってしばらくは急坂に息が上がります。幸いに登山口の気温は低くひんやりとした樹林帯は汗も少なく登りやすい。緩急の登りをひたすらこ なします。急登が一段落つくと山にカラダがようやく慣れたのか足が進み始めました。先行するパーティをいくつか追い越します。ヌタ場のような湿地帯の中を丸太を渡した登山道が続きます。昨今の山ボーイ・山ガールも多い。手軽で人気の山なのでしょう。スポータイツに短パンないし巻きスカート?と言う格好は自分には珍妙としか思えませんが機能的なのでしょう。一箇所緩く下って又湿地帯。更に登っていきます。どう考えてもダブルストックが邪魔しているとしか思えない先行のパーティ。両手自由だともっと早く登れるのでは?とは余計なお世話でしょうか。更に進みますがわずか数分違いの出発の先ほどの親子ずれは全く姿を見ることが出来ません。彼ら5日間北アを風雨のなかを歩いていただけあって只者ではないようです。

山と高原地図では中の湯ルートの新中の湯ルートが合流するように書かれていますが、それらしき地形ではロープが張られています。中の湯ルートは廃道なのでしょうか。右手にガレ場を見る頃に森林限界を抜け出しダケカンバが僅かに点在する斜面を一気に登るようになりました。湿って薄暗い地形か ら一気に陽のさす斜面へ。

頭上かなたに硫黄の噴煙、その上のガレが目指す焼岳のピークでしょうか。よく目を凝らすと蟻のように人々が岩稜帯を登っていくのが見えます。硫黄のガスにかすむように一瞬真っ青な青空が望めます。20歳代の男女がちんたら登っていますが、どういうわけか手にしたラジカセでJ-POPを大音量で流し ながら登っています。なんだこれは!思わず文句を言いたくなります。歩くのが遅いので追い抜いてもしばらくは聞きたくもない音楽が風に流されてき ます。せめてヘッドフォンでもして欲しいものです。

足が調子よく進むので面倒なので一本も立てることなく登っていきます。と頭上かなたに先ほどの親子ずれが見えました。いやー、早い。急に疲れが出てザックをおろし5分ほど休憩します。風が冷たく火照った体には気持ちよい。ガレを登りきるとそこは頂上稜線で、登山禁止の南峰と目指す北峰の間 にコバルトブルーの火口湖が見えました。

ここからは注意深く岩場をトラバースします。硫黄で岩も変色しており、強烈なニオイです。3月に入った那須湯元温泉を思い出します。最後にやや急 な岩場をよじると山頂でした。登山開始が8時前、山頂は10時15分です。

ガスが風に流されて一瞬大正池から前穂が見えますがすぐにガスに隠れてしまいました。

無線は釣竿ダイポールで50メガ。四阿山移動をみつけ呼び出します。引き続き430でCQを出すと、南アルプス中白根から声がかかりました。 中白根?? 北岳と間ノ岳の中間にあるピークだろうか?こんなピークから無線?もしやと思いヤマランですかときくとその通り、この局、JO3TQR氏はヤマランメンバーでした。昨晩は大雨の中片の小屋、今日 は農鳥小屋、明日は両俣小屋から北沢峠という馬蹄形の縦走のようです。さらにパイルが続き恵那山、車山、と山岳移動局ばかりでした。先ほどのラジカセ男女も相変わらず騒音を撒き散らしながら登ってきましたが、良く考えれば私も無線で騒音を撒き散らしています。結局似たもの同士でした。

下山は思ったよりも時間がかかります。ガレが足に応え、一服していると今朝の親子連れが下りてきました。少し話し込みます。息子さんはまだ小学校 中学年ですがこの焼岳で100名山が50山目ということ。びっくりします。私が5月連休に会津駒に登った話をすると奇遇なことに全く同じ時期に彼 らも会津駒に登っていました。多分すれ違っていたのかもしれませんね、と話をします。

最後はいい加減飽きた頃ようやく車道に出ます。下山は2時間ちょいかかりました。

中の湯で汗を流します。ご主人の話によると取り付き部の道路の法面工事の影響で中の湯ルートは現在閉鎖されていると言うことでした。まだ14時過ぎ、帰路につきます。お盆休みも中盤ということもありお約束の中央高速下りの渋滞はさほどでもなく20時には家に戻りました。

悪天の天気予報と急な仕事によるスケジュール短縮で、縮小された今年の夏山ですが、まぁこんなこともあるでしょう。短時間の陽射しではありました がそれでも赤く日焼けした腕を眺めながら山の余韻に浸っています。

(樹林帯を抜けると焼岳のピークが屹立していた) (山頂直下。火山ガス噴煙) (山頂(北峰)から望む登山禁止の南峰と火口湖)

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