登山よりも林道走行のほうが疲れた皇海山 

 (2013/10/13、群馬県沼田市)


秋の好天に恵まされそうな週末、山仲間のSさん(JI1TLL局)とタイミングが合ったので、足尾の皇海山にご一緒いただきました。

百名山にもなっている皇海山は足尾山系の顕著な2000m級ピーク。そのアプローチとしては足尾側の庚申山荘側から六林班峠を経るか庚申山経由縦走かでまずは鋸山まで至り、そこから県境尾根を北上すると言うのがあるべき姿でしょう。しかしその行程の長さからこの古典的ルートは敬遠され、今や実態はアプローチの短さから群馬県側の沼田市側から林道を深く深く詰めて懐まで入って一気に沢からアプローチするのが一般的ではないでしょうか。もちろん我々も最初からその行程を選びました。山を味わうと言うのでは、ピークハントにしか目が行っていないのは自らも残念なところですが、楽な方法があればそれに流れるのも仕方ありません。

沼田で関越を下りて尾瀬方向へ。追貝集落で国道を離れ皇海山への林道へ。この栗原川林道が猛烈な悪路と距離の長さ。せいぜい20分程度の走行と思っていましたが、しっか り林道は片道一時間の走行で。登山口の皇海橋についたらもう10時15分。(自宅からここまでの行程、1時間半くらい所要時間を見誤っていた!) 立派な広場には様々な県のナンバーが停まっています。さすがに百名山だけはあります。立派な公衆トイレで用足し、それに登山者ノートに名を記して出発です。

すでに朝5時前から上り始めた人が下山してきており、やや焦って歩き始めます。10:20過ぎ、沢に沿っての登山ルートに入ります。何度か渡り返しがありますが全体に上りやすいルートです。飛び石を注意して渡ります。続々と下山者とすれ違いますます焦ります。期待の紅葉はいまひとつですが、笹の混じる山はいかにも足尾の山と言う風情です。やが て沢は鋸山と皇海山との鞍部にむけて一気に突き上げます。源頭から稜線鞍部まで最後のアプローチは90度とは言いませんがそれに近い角度の急登で、滑りやすい土肌に古びたロープがかかっています。このあたりで先行者に追いつきましたが渋滞しています。木の根とロープを手がかり足がかりに してなんとかここをこなすともうそこは笹の美しい鞍部、11:45です。この箇所が今日の山行の核心部だったようです。

エアリアマップのコースタイムではここまで2時間半。ですが実態はここまで1時間20分。どうもエアリアの所要時間には?がつきます。「エアリアは百名山のコースタイムは眺めに記載されていますよ」とSさん。なるほど。 一服して一気に皇 海の山頂へ。山頂直前はツガと針葉樹の林で一瞬奥秩父の和名倉山を思わせる箇所です。直下に青銅の剣がたっています。それを越えて山頂は木に囲まれて展望はありません。山頂着12:20。小さな広場です。登山口出発が遅かったので山頂着は13時半頃かと危惧していましたがまずまずの時間でホッとしました。山頂から少し離れてアマチュア無線運用。Sさんが手馴れた手つきで50メガのヘンテナを設置。リグ係りの自分はFT817をザックから取り出します。バンドをスイープしますが50.250MHzから上は電話・電信と混んでいますが下は空いています。そう、今日は全市全郡コンテスト。ですから下は余り呼ばれません。それでも数局と交信、マイクをSさんに譲り引き続き430MHzで山ランメンバーをコールすると、なんとSKさん(7K1CVP局)から呼ば れます。Sさんは足尾の寂峰・中尾山を終えての帰宅途上の車の中からでした。SKさんと交信するのは多分10年ぶりくらいではないでしょうか? 

下山につくと、SさんのザックにつけたVX5が北アルプス北薬師岳からのCQを捉えました。この時期に北アルプスの稜線とは。相手局 JJ0OPV局はなんと山ランメンバーでした。今日は山ランメンバーの3局と交信が出来るとは大収穫です。

鞍部に戻りますがこれでは皇海山のピークは踏みましたがその山全貌を仰ぎ見ていません。今回の谷ルートは深い谷を一気に稜線鞍部まで登ってしまう ので、ルート上で肝心の皇海山の姿を見ることが全く出来ないのが難点です。そこで、鞍部からそのまま素通りして鋸山方面に進みます。地形図上の 1901mピークまで登るとここで始めて前方に大きな皇海山を仰ぎ見ることが出来ました。思っていた通り、写真で見ていた通り、立派山です。Sさんと顔を見合わせて、満足します。

鞍部に再び戻り下山。例の核心部、下りは流石に緊張感が漂います。谷に背中を向けてよじり下りる箇所が数箇所。核心を抜けて一安心。あとは西日の差す谷を淡々と歩いて車を停めた皇海橋へ戻ります。再び20kmを越える悪路の林道走行に耐え、追貝集落に出てほっとします。

この先どうせ関越道下りの大渋滞は計算のうちでしたので日帰り温泉「シャクナゲの湯」に立ち寄り19時半まで仮眠を取ってから横浜に戻ります。それでも自宅着は24時丁度、と長丁場でした。

登山より(登り所要2時間10分)、林道走行(2時間強)のほうが遥かに疲れた、今日の山行でした。Sさんは皇海山は28年ぶりの登山だったと言うことで、今日はお付き合いありがとうございました。

皇海橋登山口10:15-稜線鞍部11:45−皇海山12:20/13:50−稜線鞍部14:25-1901mピーク14:35−稜線鞍部14:50-皇海橋登山口16:00

(沢に沿って登ると源頭はガレ場
となった。)
(逆光に紅葉がシルエットで
浮かびあがった。)
(稜線鞍部に出ると足尾の山
らしく笹が広がった。)
(1901m峰から望む皇海山。立派
な姿にしばし見とれた。)

(戻る) (ホーム)