今年もリベンジ・山形へ山スキー 西吾妻山、姥ケ岳、白鷹山 

 (2013年5月3日、4日、5日、山形県米沢市、西村山郡、南陽市)


今年の5月連休は昨年に引き続き山形に山スキーと温泉へ、という計画です。昨年は天気に恵まれず結局東吾妻のみで終わってしまった五月連休の東北の山。さて今年はどうか。当初は5月3日・月山、5月4日・蔵王(これは歩きの山)、5月5日・西吾妻という計画でしたが、結果的にはなかなか天候に恵まれず、毎日天気予報を見ながら行くピー クを思案。車の機動力をフルに発揮しての山選びでした。

5月2日朝遅めに横浜を出発、東北道を北上して山形に入り月山の懐へ迫ると降雪に見回れました。予約していた志津温泉の宿は積雪2m。この時期に驚いたことにしんしんと降る雪の中です。天気予報も冴えません。これでは明日の月山は無理でしょう。山の湯につかりやきもきしながらの就寝です。

1・白鷹山 986m 山形県西置賜郡と南陽市の境。(ツボ足)−2013年5月3日

前夜からしんしんと降り続く雪、予報を外して今朝も降っています。月山スキー場のリフトもこの天候で運休らしい。月山は後回しにして志津温泉をあとにします。蔵王方面は天気が良さそうなので予定を一日前倒してハンドルを向けますが、頼みのエコーラインは通行止め。それでは、と蔵王温泉スキー場に回りますが、ガスと風が強くて、これでは蔵王の山頂に至るのは無理だろう、と更に転進。目指すは白鷹山。 一等点と東北100山に選ばれている山だそうで、悪天候時の代替予定として予めSさんがピックアップされていた山です。北部の嶽原という集落のはずれから登り始めますが、山頂北面を一気に上るルートなので、アプローチ部の杉林の中の緩やかな登りで詰めきるとあとは山頂まで高度感のある残雪の九十九折れとなります。直下で長い雪の谷のトラバース道。幸い雪が柔らかいのでアイゼンを持ってこなくても大丈夫でしたが、万一凍結していたら進退きわまる箇所がいくつかありました。足を外すと10mは軽く落ちそうで、内心冷や冷やでした。

米沢の上杉家、上杉鷹山の名はこの山から取った、と言ういわれの山名標がたっています。この古刹らしい神社も由緒がありそうです。神社の集会所もかねるのか小屋(避難小屋として使用可能)があり、その裏には真新しい立派なバイオトイレまで。地元の人の山らしく、何人も登ってきます。

先程の雪のトラバース、下山も不安を抱えながらも往路を戻ります。雪がないとどうというコースではないと思いますが、この時期はぴりりとやや辛口でした。山麓には水芭蕉がなにげなく農道の畦に咲き乱れていました。山頂でのアマチュア無線運用は144MHzのFM。CQを出すと福島市の東吾妻・浄土平の移動局が即呼んできました。一切経山を登って丁度降りてきたところとのこと。雪も深く風が強くて大変だったとの由。今宵の宿は寒河江の温泉付きビジネスホテルです。さて明日はどうなるか。

(北面ルートで白鷹山へ。雪のトラバースが続く) (山麓には水芭蕉が見事だった) (福島の山里に春の色。東京より1ヵ月遅い)

2・西吾妻山 2035m 山形県米沢市 (山スキー(テレマーク)) − 2013年5月4日

天候は昨日よりは良いですが日本海側は今日も低気圧の影響下。月山も同様でしょう。米沢方面は晴れとのことで、13号線を米沢に南下します。西吾妻山は丁度一年前のゴールデンウィークにも狙いにきましたが、ガスと風で天元台ロープウェー下駅で思案して涙の登頂中止。一年後のリベンジとなります。

今回は天候も良く天元台スキー場のトップまでリフトで登ると、ここからがバックカントリー。雪がとても5月連休とは思えぬ量で、しかも降りたての柔らかさ。これはラッセル苦戦か、と心してオオシラビソの林の中にルートをとります。樹林の中にはありがたいことに赤布をつけた一本のしめ縄がオオシラビソの枝を縫ってコースを示してくれます。これに着かず離れずでしばらく行くと一気に小広い雪の原に躍り出ます。ここが中大巓と凡天岩の間の鞍部に当たる箇所で、カモシカ平と呼ばれる箇所。ここからはしめ縄もなく、ポーンと真っ白な空間に放り出された気がします。シラビソの奥に凡天岩のピークが見え、よく目を凝らすとそこを2名のツボ足が登っていきます。オオシラビソを抜けると一気に上り。シールを利かせて上がっていくと ピーク上部は風が強いため雪面が氷化しており、スキーを進めると薄氷を割る感じが足裏に伝わります。

ピークを上りきる凡天岩です。岩が乱立してお陰で風は少ない。振り返ると東吾妻方面へ伸びる純白の吾妻の主稜線が雄大なスケールで広がっています。さて目指す西吾妻。正面のその先、一旦広い雪原に、その先に緩く半円丘上のピークが見えます。あれが西吾妻山。シールをつけたまま眼下の雪原に滑り降りて再び雪原を漕ぐように進んで行きます。緩い登り僅か。あたり一面は、なんと樹氷原。5月にこの風景をとても想像していませんでした。さてこの樹氷原、どこでも山頂でよいのでしょうが一応それらしい場所を同定したい。この中のどこかが西吾妻の山頂のはずです。 GPSでは山頂は約30m近く北を示しています。しばらくさまようと奥のほうから人の声が聞こえて、そちらにスキーを進めると雪の中から顔を出しているのはオオシラビソの枝にかかった三角形の西吾妻の山頂標識。二年越しの思いを遂げて満足です。

天気は晴れなのですが丁度海抜2000mあたりを雲が流れており、飯豊の方角からしきりにガスが飛んできます。視界が悪くなるのを早く避けなくては。 やや焦って山頂を辞して凡天岩で昼食。ここからの斜面は心地よい雪で一気にカモシカ平へ滑り降ります。ステップ板で来たのでブーンと言う振動が足裏に伝わります。ここで往路のトレースを探すのに少し手間取りましたが無事オオシラビソの枝にしめ縄を見つけ、あとは雪ふかふかの樹林帯の中を進みます。この雪が軽くてスキーがキュッキュッと鳴ります。狭い樹林帯ですが回転もしやすくて楽しいひと時。じきにカラカラとリフトの音が前方から流れてきて、ゲレンデトップに戻ってきます。短いルートですが無事ツアー終了。天元台スキー場を何度も転倒しながら足がくがくで滑り降りて下山しました。

アマチュア無線運用は144MHzFMで、先々週に飯山市・妙高市境の鍋倉山から交信した相手の局が今日は近くの朝日町から出ていたので、お声がけ。 下山後は名湯・白布温泉で汗を流し、米沢ラーメン。2年越しの西吾妻、ようやくスキーで登れて、大満足です。米沢駅前のビジネスホテルに投宿します。

(凡天岩を目指しシートラーゲンで登るS氏) (目指す西吾妻の山頂が目の前だった) (雪に埋まる山頂標識) (下山した米沢・最上川から望む西吾妻山)



3・月山前衛 姥ケ岳 山形県西村山郡西川町 1669m (山スキー(テレマーク))


さて今日こそ月山。朝一番のテレビの天気予報は昨晩のものより少し悪いのが気にかかります。晴れが午後3時ごろから、とあります。まぁ行くしかないでしょう。朝6時過ぎにホテルを出て再び月山の麓、志津を目指します。志津の野営場の駐車場に車を停めます。ここで姥沢行きの西川町営バスを待ちます。上がってきたマイクロバスに乗り込んで月山スキー場の姥沢へ。

月山リフトを下りると前方に月山、のはずでしたが、猛烈な風とガスで月山はその山頂部が隠れたまま。全山真っ白のせいか、距離感が全くなく、月山まで距離が読めません。遥か遠くに思え、しかも目の前は雪煙。この風と、このガスではとても無理、とSさんと即決。このスキー場トップの上に立つ姥ケ岳にたち、尾根の向こう側の湯殿山との鞍部から石跳沢をすべるというコースに特化することにしました。正直、スキー場トップから見た風とガスの向こうの月山が、とても遠く、とても大きく、しかも山頂は見えず、生理的に危機感を覚えた、というのが自分の正直な気持ちです。進むことが、 怖かった。わざわざここまで来て、残念ですが、気分が負けていました。

姥ケ岳までは30分程度の登りです。シールが思ったよりもよく効いて途中から直登りします。目の前、思ったより低く湯殿山が真っ白です。月山を振り返ると視界には真っ白な基部のみ。山頂は絶え間ないガスにつつまれて拝むことが出来ません。なんと言う、人を寄せ付けない姿。以前ロープウェーの中から見たモンブランの姿を彷彿とさせるかのような、気高さと威圧感。これで、よかったんだよ。今の自分には、遠い山だ。眼下には これから滑り降りる鞍部までの広大な斜面。標高差は約350mですが、余りの広さに気持ちが吸い取られそう。えい、大丈夫。いけるぞ。雪に少しだけ顔を出すハイマツの中を慎重にスキーを進め滑り出しのポイントを探して、一気に滑ります。気持ちよい。広大な斜面、どうシュプールを刻んでも自由 です。昨日と板を換え、今日は130cmのショート板。自分の足前ではスピードに乗るとコントロールが効かないのです。足がとられて転倒、漫画のようにでんぐり返りをしてしまいます。

湯殿山との鞍部からは沢(石跳沢)に沿ってのロングルート。じきに見事なブナ林の中を行くようになり、いかにも山スキーらしい雰囲気が漂います。 シュプールは豊富ですが、読図を絶えず行いながら車を停めた野営場の上部、ネイチャーセンターまで無事にスキーを進めることが出来ました。

アマチュア無線運用は姥ケ岳で430MHzFMでSさんと奥の手のみ。風が強くてそれどころではなかったというところです。

(姥ケ岳山頂から眼下に見る純白の湯殿山) (姥ケ岳と湯殿山の鞍部から石跳沢源頭へ滑り出す) (石跳沢下部はブナ林の中の滑走となる)

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志津の旅館で日帰り温泉。あとは横浜に帰るだけです。出発16時。ただ長いドライブで気が重い。遊びの後は、気が重い。それでも東北道の渋滞掲示板をみて、これは駄目だ、と機転を利かせて米沢まで13号線、福島に抜けます。ここで渋滞表示の東北道をさっぱり諦め常磐道経由で、こちらは、目立った渋滞も一切なく90km巡航維持で首都高速経由で帰宅。それでも自宅着は深夜1時。山形は遠いですが、楽しみました。全ての計画通りにはいきませんでしたが2年越しの西吾妻にようやく登れてなによりです。さて月山は・・又来年こそ、次回こそ臨みましょう。


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