5月連休は吾妻連峰のスキーへ 

 (2012年5月5日、福島県福島市)


今年のGWは福島・吾妻連峰へのスキーツアーでした。いつものようにSさん(JI1TLL局)とご一緒させていただきました。連休の東北道の渋滞を嫌い横浜から車で行くのではなく新幹線+レンタカーと言う手段でしたが、 結果的にドライバーに疲労が残らずに良い選択でした。

当初は初日山形に入り月山、二日目は米沢から西吾妻、三日目は福島から東吾妻という、ベース地と山を毎日移動すると言う計画でしたが連休に入ると我々が行く予定の連休後半の天気予報が冴えません。やむなく初日の山形行き・月山登山は諦めて出発を一日ずらします。それでも5月3日は雨。4日、5日の天気予報もぱっとしませんがまずは現地入りしようと、5月3日午後の新幹線で福島経由で米沢に入ります。翌日4日、雨はやんでいますが山はガス。それでも、と天元台まで上がっていますがここまで登ると雨交じりの濃いガスで、とても山スキーと言う訳にはいきそうにありません。いくらコンパス、地形図、高度計、GPSで武装しても視界が利かない中、山スキーをする自信がありません。天元台スキー場はOPENしていますがゲレンデスキーには興味もないので、このまま頭を切り替え会津へ抜けてドライブと相成りました。ただし自分は頭を切り替え自分を納得させるのに時間がかかりましたが・・。会津に抜けて湖沼群を見て、明日の予定である東吾妻へ行って見ます。浄土平周辺は思ったよりも雪がありません。明日のスキーは大丈夫だろうか。吾妻小屋(素晴らしい小屋でし た)で美味しいコーヒーを頂き土湯温泉(共同湯は小さいながらも湯も熱く雰囲気が大変ディープ)経由で福島市へ。途中で沼尻の集落を通りましたが、沼尻軽便鉄道の駅舎が保存されておりそれを思いがけずに見ることが出来ました。軽便鉄道が好きな自分としてはスキーが出来ない悔しさが多少払拭されました。

5月5日は、東吾妻を目指します。

浄土平まで車で上がってくると相変わらずのガスと強風。今回の低気圧の進みは遅く、通過した低気圧の後に続く西からの風が絶えず吹いてきます。それでも、とシールを貼って出発です。浄土平から木道を歩き果てたところで雪が待っていました。ここからシール登高開始。沢沿いに雪を伝います。雪は幸いにかろうじて切れておらず板を外すことなく登れます。が高度を稼ぐとガスの中に巻き込まれました。視界はほぼ20mくらいか。このままとりあえず酸ケ平避難小屋まで行って、そこで天気の回復を待ちましょう、とSさん。沢の喉を抜けると広くなった急斜面を登り始めます。クライムサポートを立てて登っていきます。ガスの中から点々と他の登山者の姿が見え隠れします。傾斜が緩んで左手前方にボーっと避難小屋が見えました。ほっとして中に入ります。10年以上も前のガイドブックには、半ば壊れかけた小屋という記載がありましたが、新しく立て替えられたのでしょう、今は堅牢な良い小屋です。小屋の中は地元の山スキーヤー、登山者が5,6人。山スキーヤーは頻繁にここに来ているようでルートの情報を貰います。この時期は雪がつながっているかが分からないが、前大巓を滑るのが良いだろうとの事。自分達もその計画です。

早めの昼食をとりながら2時間ほどここで天気の回復を待ちます。と、一気に外が明るくなりました。小屋を出ると眼前に鎌沼から前大巓へのパノラマが広がっていました。ガスが晴れるとこうだったのか、と息を呑みます。雪は既に溶けておりスキーは出来るのだろうか?前大巓のピーク方向はそれでも雪が未だべたりとついています。これなら行けるでしょう。さっそくSさんと小屋を出ます。鎌沼までは高層湿原の中、木道を歩きます。湖畔脇まで来ると前大巓が目前に高い。ここからは雪がついているのでシール登高再開です。コメツガが頭を出す斜面は積雪未だ2-3m はありそうです。ゆっくりと上り始めます。真っ青な空の上を忙しそうに雲が西から流れては消えていきます。汗をぬぐって上ります。斜め上の山頂への直登は斜度もきつく一旦カールのような形状の大斜面を端までつめてから稜線を登るようにします。稜線まで来るとシラビソが増え、その中を縫って山頂までは一息です。

山頂。コメツガが頭を出しており積雪未だ2-3m はありそうです。早速アマチュア無線運用。ヘンテナで6mを開局しますが1エリアは遠い。結城郡の移動局が5-3程度で聞こえましたが呼んでもとってもらえません。無線機がピコ6(1W)ということもあり結局交信はかなわずでした。山頂に居たテレマーカーが話しかけてきます。なんと我々「山と無線」の他のメンバーと交信したことがあるといいます。世間は狭いものです。

下山は、ザラメ雪の中、下手糞ながらもターンが決まって爽快このうえありません。鎌沼の木道以外は浄土平の駐車場末端の木道終点まで頑張って雪をつないで、最高のダウンヒルを満喫できました。

無事に下山。装備を片付け福島市に下りていきます。レンタカー返却時間、帰りの新幹線まで間があるので湯に立ち寄ります。今度は高湯温泉。これは硫黄質の濃い乳白色の湯です。東北の山はスキーのあと湯という、なんとも贅沢な組合わせがいとも簡単に実現できてしまいます。

天気に恵まれなかったGWの山でしたが、なんとか一日は登山・スキーが楽しめました。一方で月山、西吾妻、と計画だけして登ることが出来ませんでしたが来年の宿題でしょう。今シーズンの山スキーもこれで終わりかと思うと寂しい限りです。これほど来年が待ち遠しく思える楽しみもそうはないものです。

(釜沼はまだ端が氷結していた) (シラビソを縫って登っていく) (前大巓に下手糞テレマークターン) (吾妻小富士を望む)

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