三浦半島の山・大楠山に遊ぶ 

(2010年1月3日、神奈川県横須賀市)


足の怪我で忘年山行にご一緒できなかったKさんと、アマチュア無線のニューイヤーパーティ(NYP)参加をかねて、新年の山にと手近な三浦半島の山に遊ぶことにした。

三浦半島の山ではメジャーどころでまだ大楠山(241m)に行ったことがなかった。下からの歩くコースもあるが、楽をするには山頂直下まで車で入れてしまうので歩行はせいぜい15分か。正月休みで腹が膨れて運動も辛い自分には丁度良い山だろう。一方Kさんもすでにこのピークには2度ほど登っているものの足の回復具合からしてこの程度の山が丁度良い、とのことで、行き先はすぐに決まった。

Kさんとじっくり会うのはほぼ一年ぶりである。Kさんとはこれまで幾度となく山をご一緒させていただいてきたのだが、2005年からの自分のヨーロッパに転勤以降はそうそうしょっちゅう会うことも行かない。とはいえ年に一回の自分の帰国時には山をご一緒させていただいているので、ご無沙汰という思いは余りなく、むしろこれまでの続きのように色々と世間話をしながらの往路となった。私よりも一回り年上のKさん、人生の先輩にもかかわらず、変わらずおおらかに気さくに接してくれるのでいつも厚意に甘えてしまう。自分がアマチュア無線を開局した直後に無線を通じで知り合ったので、もう15年以上ものおつきあいになる。そんな月日の経過はにわかに信じられないが、車中の話題もここいつしか定年や老後の話などになってきて、お互いにそれ相応の時間を経てきた事を改めて感じてしまう。

横浜横須賀道路を衣笠で下りるとしばらく走って大楠山入り口。この先の林道は途中からラフロードになる。普通乗用車では腹を擦りそうな箇所もあるがNTT鉄塔下の広場まで登る。二人とも街着にスニーカーだから山もなめられたものだ。もっとも身支度を整えるまでもなく山頂まではすぐそこなのだ。

(殆ど歩かずに登ってしまった
大楠山。山頂を遠望)

車道をしばらく歩いて右手に続く階段を登りきるとはや山頂。古びた鉄塔とその下には昭和30-40年代を感じさせる休憩舎があった。中には驚く事に人がいて、ジュースや味噌おでん、カップめんなどを売っている。営業売店なのだ。壁には未だ若い皇室ファミリーが写った山頂写真が飾られている。「この山はその昔皇室が登ったんだよ」とKさん。

山頂からの眺めはなかなか良い。正面に金沢文庫あたりの港、後は三浦半島先端。富士山は左手奥になる。山頂広場の端に陣取りアンテナを設営。Kさんは慣れた手つきで桃太郎ポールと釣竿を使い50MHzのダイポールアンテナを地上高さ4mあたりに設営してくれる。ロッドアンテナを使い中にFCZバランを組み込んだ自作のダイポールアンテナだが久々に使うので長さの調整に手間取ってしまう。Kさんもご自分の運用する430MHzのホイップをそこにくくりつけ、さぁ運用開始だ。

50MHzをワッチ。SSBモード。25KHz間隔でVFOを回してみるが50.150から300過ぎまでびっしりと局が出ているではないか。さすがにNYPだ。この場所も良いロケなのだろう。空き周波数を何とか見つける。きっと呼ばれるだろう・・・高鳴る気持ちを抑えてCQを出す。マイクのPTTを離す瞬間の緊張と興奮は開局当時と何等変わることがない。と一発でコールバック。コールサインをコピーするまでもなく、その変調でそれがつい先日忘年山行で駿河湾の山をご一緒させていただいたSさんだと分かる。お互いのRSレポート交換でしばらくラグチューモード。この後も5年ぶりとなるGさんに続けて呼ばれるなど、「山と無線」の仲間との交信は時を忘れさせてくれる。横須賀市移動など珍しくともなんともないが、それはNYPということもありパイルアップも交えて途切れることなく1時間で30局弱と交信。久々に山岳移動運用の楽しさを感じさせてくれた。個人的には100円ショップのマンガン乾電池運用、2.5WのQRPとダイポール、という簡易装備でこれだけ遊ばせてもらえれば何もいうことがない。

Kさんも430MHzFMで30局程度の交信との事。1QSOが長い430メガでこの局数とはすごいものだ。50メガ並みのショートQSOでさばかれたのだろうか、たくさん呼ばれて満足そうだ。

菓子パンの昼食を終えて店じまい。この山は手ごろなサイズなのか正月早々にもかかわらず山頂は多くのハイカーで一杯だった。酒盛りに興じるグループも居て和やかな山頂。眺めもよくポカポカ陽気の山頂で、我々もマイク相手に声を存分に出したのでストレスも雲散霧消だ。

帰路もKさんとお喋りしながら横浜に戻る。またしばらくKさんや他の山と無線の仲間と会えないのは寂しいことだがそれもまたあっという間だろう。Kさんとそんな話をして、また今度会いましょう、といつものように再会を期した。さぁ明後日には再びヨーロッパへ帰国だ。

山歩きのページに加えるにはためらわれるほどの小さな行程の山であったが、旧知の仲間と久々の無線に興じることが出来てなによりだった。


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