大山南尾根・高取山

(2005/12/10、神奈川県伊勢原市)


一週間ほどの出張でドイツから日本に一時帰国。約4ヶ月ぶりの日本でしたが町の風景にも違和感がなくすぐに溶け込みました。路に溢れる自販機、バリアフリーに全く縁のない歩道、路の狭さやごみごみした感じ、携帯が手放せぬ人々、よいか悪いかは別として、これらの眺めはやはり懐かしいものでした。

(長閑な大山の山麓風景)

土曜日が一日空いたので何処か手近な山へ、と考え丹沢は大山南尾根の高取山へ行ってきました。こんなこともあろうかと一応山の地図を出張カバンに入れてきて正解でした。久々に乗る相鉄線、海老名で乗り換えて小田急線へ。目の前には大山をはじめ丹沢の山々が克明に立ち並んでいます。横浜の自宅からも毎日のように見慣れていたこの風景ですがこうして間近にみるとなかなか迫力があるものです。大山の奥の、丹沢山や蛭ケ岳などはもう雪が着いておりそれが冬の青い空の下鋭く輝いています。かつては登ったことのあるあの主稜線もいまやドイツでの自動車通勤で足腰の弱った今の自分には果たして登れるものか、随分と遠いようにも思えてしまいます。さて今日のピークを目でたどってみましょう。大山からゆったりと南に向け高度を落としているあの主尾根上の一ピーク・・・あれか、のんびりと行きましょう。

秦野で降りて蓑毛行きのバス。ゆっくりと家を出てきたせいか時間はずれのこのバスには蓑毛から大山に向かうのであろうパーティ数組が乗っているだけです。東中学校バス停て下車してゴルフ場に向けて、行きましょう。大山の山すそに広がる段々の傾斜地。小さな畑に民家が点在しその中を送電線鉄塔が建っています。無造作に駐車している農機具を乗せた軽トラック、民家からは飼い犬の声、そして日当たりの良い庭に並ぶ洗濯物、奥には墓地がありやや大きなあの建物はお寺であろうか。あぁ、どこにでもある全くの日常的な眺め。これといって特筆すべきこともないごく当たり前の風景。日本の山里の、なんとも開けっぴろげで屈託のなさ。そしてそんな空気が、何も疑うこともないかのようにすっと自分の周りを包み込んできます。この居心地のよさ。わずか100mもないこの道を歩くだけでひどく安心してしまう自分です。 ゴルフ場に着くとクラブハウスの前からコース脇の道の中を登っていきます。

しばらくこれを登っていくと鹿避けの柵が現れます。扉を開けて踏み跡を辿っていきます。宝永山の上から冠雪している富士、目を転ずれば関東平野が広く見えます。冬枯れの雑木林の持つ枯れた明るさがとても素晴らしいものに感じました。枯葉を踏んでパキパキと枯れ枝を踏み登る事の楽しさ。高取山山頂に到着、持参した430MHzハンディで1局交信してポイント稼ぎ。

山頂からの下山は善波峠から吾妻山へ抜け鶴巻温泉駅を目指します。善波峠まで下ります。ここから先は何年も前に家族で歩いたことがある道です。もつれ合うようにして前に駆けていったあの二人の子供たちももうすっかり大きくなってしまいました。日本への一時帰国がわずか一週間だと言うのにひどく寂しくそして懐かしい。さぁ明日は帰るのです。家族の待つドイツへ。

登る前は、なにせしばらく全く歩かない生活でしたので登れるか不安でしたが、なんとか登れて満足。改めてこうしてみると冬の日本の里山は温かさがあります。ドイツの冬の森林の様な冷やりとして突き放す感じがない。落ち葉で埋まった地表。なんともおおらかで温かみのある冬枯れの低山です。

先ほどの来の風が強まって落ち葉が舞い上がりその一枚一枚が手を広げて側転するかのように地を舞っていきます。

鶴巻温泉の駅まではすぐそこでしょう。又当分日本の山には縁がなくなりますが、次回を楽しみにしておこうと思います。


9;55東中学校 - 10;27ゴルフ場終点 - 10;55高取山山頂 11;30発 - 12;05念仏山 - 12;12送電線 - 12;25善波峠 - 12;55吾妻山 - 13;15鶴巻温泉駅


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