横須賀の尾根を歩く・鷹取山 - 神武寺駅から追浜駅まで

(2002/11/4,神奈川県逗子市・横須賀市)


(鷹取山展望台から横須賀方面を望む。切り立った岩場のゲレンデが
豊富な山だ。)
 Nikon CoolPix775

放射冷却で朝がぐっと冷え込むようになったこの数日の横浜であった。曇ったガラス窓を拭くとその向こうに朝日を浴びて真っ白な富士が滲んでいる。前衛の丹沢もその峰々が明快な谷と尾根を見せてくれるようになった。

秋の3連休を安蘇の低山歩きと佐野のラーメンや加須のうどんなどのB級グルメで楽しもうと言う計画を立てていたが、日光方面からの紅葉狩り帰りによる東北道の渋滞を危惧して諦めてしまった。ちょっと気勢をそがれてしまったが連休の最終日に余りの好天にこのまま家で居るのももったいないと急遽ザックをまとめて家族で家を出たのは11時が近かった。幸い神奈川県にはこんな時間から出ても楽しめる場所がいくつかある。

京浜急行を神武寺駅でおりて歩き始める。逗子中学校への道にしたがって折れると谷あいの道となった。老人ホームを右手に通りすぎると急に山肌が狭まり沢道沿いに深山幽谷の態を示してきた。住宅が密集する神奈川県のさなかにこんな空間があるとは驚きである。子供達が先行するが狭まった沢で遊んだりしている。頭上遥か上には木漏れ日も差しており鳥の鳴声もこだましている。

やはりこんな場所でも山は気持ちよい。家内は趣味の工芸に使うといい適当な枝を拾いながら歩いている。沢が狭まり登山道がつづらおれとなると源頭部で、それを越すと神武寺の山門に出た。車道が通じておりなかなか立派な古刹でもある。ここから東逗子駅からのコースを併せるせいか往来のハイカーが急に増えるようだ。本堂の裏からしばらく急な坂を登るともうここが尾根道となった。やはり海抜120m前後ではさすがに規模が小さい。

ここからは非常に気持ちの良い尾根道となった。雑木と常緑種が主体で紅葉には余り縁がなさそうであるが味気ない植林の山よりもずっと楽しい。送電線が南北に3本並行して走っておりそれを順次くぐっていく。横浜横須賀道路が眼下に走っており音が漏れてくる。

子供達はずっと先へ行ってしまった。昔は下の子などは肩車で歩いたものだが・・大きくなったものでもある。が我々の姿が見えないようだとちゃんとそこで止まって待っている。まだ不安があり自分では決断を下せない。大きくなったとは言ってもまだまだ子供なのだ。でもそれとていつまでか・・。

途中で鎖が下がる岩場があり少し驚くが通り過ぎてしばらく行くと目の前に鷹取山山頂の展望台が見えてきた。尾根歩きもこれで終わりだ。狭まった岩の基部を滑り込むように廻るといきなり目の前に大きな岩場が出てロッククライマーが数人岩場にぶら下がっていた。ここは格好のゲレンデなのだ。尾根道を辿り山頂に立つことしか出来ない自分に比べ彼らはなんとバリエーション豊富な山を楽しんでいるのだろう。随分と自分が小さく感じ彼らから逃げるように岩場を離れた。

右手に周り階段で展望台に行ってみる。鷹取山山頂、眺めは良いが風がいかんせん強い。こんなこともあろうかと思ってザックの中に入れておいたツェルトを広げて家族にはその中に入ってもらう。滅多に味わうことのない経験なので結構楽しんで中でおにぎりなどを食べているようだ。こちらは短時間で良いので50MHzの運用をする。ダイポールを伸ばすが風でぐるぐると廻ってしまう。それでもなんとか4局交信できる。先週蓼科で山と無線フェスティバルで会ったばかりのJJ1KAEが羽村から呼んできてくれたのは嬉しかった。

山頂広場に下りて湯を沸かしココアを入れる。西日が差してきて、さっきまで響いていたゲレンデのやり取りの声ももう聞こえなくなってしまった。撤収して下山する。京急田浦の駅までまだしばらく尾根道が続いているという。その道を目指すが分岐が良く判らないまま気づけば磨崖仏に出てそのまま団地に出てしまった。まぁ、いいか。

ここから追浜の駅まで団地内をのんびりと歩く。妻と子供達は拾ってきたどんぐりや木の枝などの戦果をビニール袋の中から取り出してはあーでもないこーでもないとにぎやかだ。すっきりとした青空も気づけばづいぶんと薄暗くなっていた。体を包む冷気はやはり秋たけなわのものだった。夕闇迫る中追浜の駅に出た。黄色いヘッドランプが闇に浮かんで品川行きの電車がホームに入ってきた。秋の好日を山で過ごした軽い疲労感が心地よかった。

(終わり)

コースタイム:神武寺駅12:30-神武寺13:15/13:20-鷹取山14:15/15:45-団地16:10-追浜駅17:00


アマチュア無線運用の記録

鷹取山・130m、神奈川県横須賀市 50MHzSSB運用、自作4WSSB/CWトランシーバ+ダイポール、4局交信


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