2002年の幕開けに。丹沢・大山の南尾根を歩く

(2002年1月2日、神奈川県伊勢原市)


毎年の初め、アマチュア無線家にとっては年初めの行事でもある「ニューイヤーパーティ」はずっとローカル仲間の7K3EUT・塩田さんと一緒に神奈川県の低山を選んでそこに登っては参加している。2002年の幕開けも、又一緒に移動運用する運びとなった。さて自分にとっては気軽に登れてかつアマチュア無線のロケーションが良く、そしてまだ登っていない神奈川県の山というのは随分と数が減ってしまった。箱根はまだまだ残っているがやや遠い。三浦半島は近いが山という気がしない。丹沢の周りを探し、大山の南尾根に目をつけた。ここはまだ歩いた事が無い。浅間山というピークが2.5万分の1図にしっかりリストされている。尾根上の単なる小ピークではあろうが、一応山と名がついているし、なによりも無線のロケは良さそうだ。

伊勢原駅からバスに乗り大山ケーブルカー経由で下社に上がる。さすがに初詣客が多い。塩田さんと賑わう大山下社で参拝をすませる。皆半数近い人はここから更に大山の頂上に向けて長い石段に取り付いているようだった。頂上には阿夫利神社の本社があるが、ここからは結構辛そうなアプローチである。こちらは後は下がるだけなので蓑毛越に向けてほぼ水平な巻き道を南に向けて歩き始めた。今回は10Wでの運用をしようと、塩田さんのザックには無線機と電池が入っている。こちらはアンテナと、あと山頂で暖かい物を食べるための装備が詰まったザックだ。

蓑毛越で大山からのコースと蓑毛から上がってくるコースと合流する。ここが大山から伊勢原に向けてなだらかな山裾を広げるその主尾根である。目指す浅間山680m峰は目の前で、電波中継塔が立っている。山頂は藪がちで眺めは得られない。長居するのには冴えないのでもうひとつ南の636m峰まで南下した。こちらは今度は杉の植林帯の中で、寒々とした暗い感じのピークである。ここも冴えないのだがこの先の高取山556m峰となるとここから1時間以上の行程であり、もうすでにニューイヤーパーティ開始時刻の9時を回っている事もあり、ここで運用をする事にした。

まずは塩田さんが50メガのSSBを運用し始める。こちらは1200メガのFMを運用してみる。FCZ研究所のキットの5エレ八木アンテナを直結したハンディ機という設備。神奈川県を中心に呼ばれるがパイルとはならない。数年前のニューイヤーパーティで仏果山に移動して,同じく1200MHzを運用したがあの時はよく呼ばれた。やはり直進性の高いマイクロウェーブはロケがものを言うのだろう。一方塩田さんは好調に呼ばれているようだ。パワーの差はあれどVHFとマイクロウェーブではおのずと飛び方が違うのだろう・・。

しかしついこの間塩田さんと宮ケ瀬湖北の南山に移動してニューイヤーパーティに参加してからはやくも一年たってしまった。今更言うまでも無いのだが何故こんなに早く年月が進むのか、毎年ぼーっとしていると又来年がすぐにきそうにも思える。

(高取山には素晴らしい展望が待っていた。塩田さん・左と)

塩田さんがノルマの20局達成したのでこちらも50メガを交代で運用する。やはり慣れたバンドは違う。猛烈なパイルアップとなるが2局のコールを取るのがやっとである。各局に新年の挨拶をする。仕事や色々な環境で今までと同様にこんなに今年も楽しめるのだろうか・・。ぜひそうありたいものだ、と思う。

良く晴れてはいるのだが杉の林の中に射しこむ陽射しは殆ど無い。おまけに上空に小さな雲がかかり雪が降ってきた。震える中好調に呼ばれつづけ30分でノルマの20局を達成してしてしまった。後は歩くのみ。撤収して高取山への稜線を歩き始める。

地図も見ないで適当に踏み跡を拾って行ったら尾根は真東に向かって高度を下げ始めた。間違えた。南に行かなくてはいけない。少し戻り正規の尾根に乗った。ここは電波中継塔のメンテのためかやや荒れた林道が尾根筋に従って通っていた。なだらかな尾根をまっすぐに下って行く林道で時折スキーのジャンプ台のような急坂もある。四駆でないと走れないだろう・・。仕事の話し、無線の話し、馬鹿話・・塩田さんと道々よもやま話をしながら歩く。最近転勤から地元に戻られてきた同氏だが、転勤先ではそれなりの山歩きとアマチュア無線運用を楽しまれたようだ・・。同じ楽しみを共有できる仲間がこうしているとは何とも嬉しい・・。

舗装された林道に出て突っ切って登りきると高取山で、ここからは素晴らしい展望が広がった。二人して歓声を上げる。ここで無線をやれば良かったと思うが後の祭で、まずはビールで乾杯をして暖かいラーメンやうどんなどをつくる。江ノ島から三浦半島などが手にとるように見えてここは無線運用にはもってこいであろう。冴えないピークの続いた大山南尾根だが、ここでようやく眺めの得られるピークにきた。こんな眺めの下のんびりとビールを空けあたたかい物を食べると幸せ・幸せ・・・。

何人か訪れた登山客も居なくなり、こちらもそのまま聖峰不動を経由して国道246号線までのんびりと下りていく。山道から里道になり、東名高速をくぐっていく。寺や神社が幟などをはためかしており、それがいかにも正月らしい風景だった。

2002年もこうして始まった。年の初めに毎年書いているニューイヤーパーティの記事も、本当にあっという間だった。今年も仕事もそうだががんばって遊べるだけの心の余裕を持とう、と改めて正月にその思いを新たにした。


アマチュア無線の記録

浅間山、神奈川県伊勢原市
1200MHzFM運用 STANDARD C710, 8局
50MHzSSB運用 YAESU FT690mkII+FL6020, 21局


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