秦野市郊外の丘陵歩き-権現山・弘法山

(2001/6/1、神奈川県秦野市・伊勢原市)


大・中・小と
3人連なって

秦野市郊外の権現山・弘法山から小田急線の鶴巻温泉駅にかけては丘陵歩きで簡単なハイキングコースがあり、手軽な半日遊び用にコースに良いのではないか、とリザーブしていた。6月1日は横浜港の開港記念日で横浜市立の小学校は休みとなる。そういえば自分のときもそうだったっけ・・、と遙かな記憶を呼び戻す。ともあれ小学二年生の長女にとっては思わぬ休みとなったので、こんな日は、とばかり家族を野外に連れ出した。

電車で行くのも良いが帰りのことを考えれば車が無難だろう。鶴巻温泉駅に車をデポして小田急線で秦野出て丘陵歩きで戻ってこようと考えたのだが肝心の駐車場が駅周辺になく、しかたなく順序を変えて秦野に向かう。秦野駅の近くに車をとめてタクシーで弘法山に向かった。気さくな女性運転手は今日(土曜日)は学校休みか?と娘に聞いてくる。横浜市の開港記念日で休校であることを告げると、わざわざ横浜から弘法山まではるばるありがとうございます・・とお礼を言われてしまった。下車の際には子供たちにタクシー代の端数を返そうとしたりする。子供好きな運転手さんなのだろう・・・。

車で「めんようの里」まで上がってしまったので何の苦労もなく稜線だ。稜線と言っても標高200mしかなく、まあつまり丘の上である。砂利の整備された道が権現山まで続いておりピークへの登りはカラフルなクリーム色のコンクリートの幅広い階段にアルミの手摺がつながっている。長女からねえ、山は何処にあるの?と質問が飛んできた。ここが一応2.5万分の1図にも記されている山の頂上なんですけど・・・。しかしこの整備のされようは完全な公園で、まぁこのような所に野山散策気分を期待するのも甘いのかもしれない。 芝生の原に中国の楼閣を模したような真新しい展望台が立っているが、果たしてこれが山頂風景にマッチしていると思っている人がいったい何処にいるのだろう?登ってみると眺めはなるほど、悪くない。秦野の市街地がちょっとした箱庭のようだ。北は丹沢の表尾根、東はこの権現山、南から西にかけても低い丘陵があり、そういえば秦野は盆地だ、と昔地理で教わった。と思いだした。

芝生の山頂から元来た道を戻り、今度は弘法山に向かう。道は相変わらず良いが山頂直下のみそれらしい山道となった。弘法山山頂は立派な鐘楼があったり古井戸があったりとどこかの神社の境内のような趣がある。鐘つきも井戸も子供には初体験で、井戸には随分と驚いたようだ。ポンプを押して引くと魔法のように豊富な水が湧いてくるのだからさもありなんだろう・・。山頂のベンチに越し掛けてダイポールをセットして50MHzをワッチするとJE1FVX(丹沢・三ノ塔移動)・田島さんとJK1RGA・河野さんが交信していた。田島さんを呼んでからCQを出すと早速河野さんに呼ばれる。河野さんはすでにこのルートを歩いているそうで、ここから鶴巻温泉駅までの詳細なコースを教えてもらう。秋にはミカンを見ながら歩けるそうだ。河野さんは丹沢から奥多摩あたりはほぼ完全に虱潰し的に歩かれているのだから全くすごい話だ。

お弁当を食べ終わると社殿の裏手から鶴巻温泉へのハイキングコースに踏み出した。道はか細くなって、ここへきてようやく山道らしくなった。といっても今日はこれ以上高い場所も無く、あとは下るだけだ。

吾妻山から。

次女が幼稚園から蚕を繭になるまで育てるようにと家に二匹持ってきているので、餌となる桑の葉を妻が探して回る。このコースには桑の葉が豊富なようで、たちどころに妻はビニ-ル袋一杯に葉を採取してしまった。たくさんあると大喜びだ。二人の娘達は歩きながらアニメソングなどを唄っていて妻がそれにあわせて歌う。三人連なって芋虫のように歩いている。全く平和な気分でアップダウンのない割には長い道をのんびりと歩く。子供たちは何がおかしいのか笑い合ったり、つっつきあったり、滑りやすい山道を走り回ったり、挙句の果ては泣いたり、と全く忙しい。ころころと全く活発で、これでは煩いから日常でもついつい抑え付けてしまいやすい。それは良くないだろうとわかっていながら、親のエゴが優先してしまう。自分は親にどう育てられたのか、まだまだ親としても発展途上なのだ・・。もっとも発展してしまったら子供たちも巣立ち、後はそれなりの年齢となった妻と自分が残るのか・・・、時間よ,止まれ・・。

道はありがちな植林帯を行くのではなく、雑木林の中なので歩いていても気分が良い。善波峠からのコースを合わせると民家が近づきやや人臭くなった。たんたんとして思ったよりも長いコースだ。

吾妻山はこのコース最後のピークで、眼下には相模平野が広がったちょっとしたパノラマである。地元の日との格好の足慣らしなのか、散歩風情の人も何人かいる。眼の下を小田急線のロマンスカーがゆっくりと走って行く。四月にお花見で皆で登った湘南平から高麗山が思いのほか近くに見える。一服してピークを後にして下っていくと畠となる。もう麓に出たと子供たちは走り出して次女は足がもつれて道の真中でひっくり返った。

鶴巻温泉駅から小田急線に乗り秦野まで一駅。「今日のは山らしくなかったね」と長女がわかったような事を言うので思わず嬉しくなってしまった。「山歩き」でもなんでもなく近所の自然公園を歩いたような感じだったが、まぁそれもいいだろう。何処か途中で大きなショッピングセンターにでも立ち寄って、夕飯のおかずでも買って帰ろう、そんな事を考えながら秦野を後にした。

(終わり)

アマチュア無線運用の記録

権現山 244m 神奈川県伊勢原市、1200MHzFM
弘法山 235m 神奈川県伊勢原市、50MHzSSB、自作SSB/CW機(4W)+ダイポール



Copyright 7M3LKF, Y.Zushi 2001/8/21


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