●山形勲

 久し振りの<好き・スキ・この人>は、平均年齢をぐっと引き上げる(笑)山形勲さんである。東映時代は悪役で有名だが、中には忠臣蔵の不破数衛門のような豪快な男の役も多い。悪も善も演じ分ける方である。なにせ、貫録がある。こういう方が脇に廻ると、ドラマに深みが加わる。主役に負けないクラスの悪役なのだ
 その山形さんが秋山小兵衛を演じる剣客商売。これが予想以上によい。孫のようなおはるを相手にしても、いやらしくなく、さりとて色気がないわけでもない。馬鹿正直でがちがちの堅物、大治郎を演じる加藤剛さんと並ぶと、軽妙洒脱。この方はこんな一面があったのだと再認識する。う〜ん、渋い。昭和33年の映画<新選組>では土方歳三を演じているが(ちなみに近藤勇は片岡千恵蔵御大である)山形さんの土方には非常に興味がある。この方は寡黙な役も、雄弁な役もどちらもこなされる方であった。そういえば、土方歳三をやって、吉良上野介もやられた方はこの方くらいか?<新選組>が悪として描かれる場合は個性的な俳優さんが土方を演じられていたが…ちなみにインパクトの強かった土方歳三は成田三樹夫さん(鞍馬天狗)と菅貫太郎さん(怪談・新選組〜呪いの血しぶき。この作品は松橋登さんが沖田総司をやっていて、とてもよかった)
 山形勲さんはウルトラシリーズにもご出演されている。<ウルトラマンA>の高倉長官であった。あとは、岡本太郎デザインの斬新な宇宙人で有名なカルト作品<宇宙人東京に現る>にもご出演。映画のみならず、テレビにも幅広く出られ、時代劇も現代劇もばんばんこなされたパワフルな方であった(2003.2.12)
名前 山形勲(やまがた・いさお)
生年月日 1915年7月25日・1996年6月28日没、享年80歳
主な出演作 <転落の詩集>(1953)、<宮本武蔵>(1965)、<白い巨塔>(1967)
<特別捜査本部>(1968)、<無用ノ介>(1969)、<剣客商売 >(1973)
<夜の来訪者>(1975)ほか。映画も多数出演
MEMO 一心太助の松平伊豆守がよかったな〜