●大滝五郎蔵(綿引勝彦)

 鬼平犯科帳の魅力のひとつに密偵たちがいる。原作でも、映像でも、そのキャラクターの魅力に感嘆するばかりだ。小気味いい、しゃきっとした感じの小房の粂八。乙女のような純真さと、大人の女のしたたかさを持ったおまさ。若々しく、溌剌とした伊三次。トボけた味わいで、平蔵の信も厚い相模の彦十。盗賊のお頭であり、落ち着きと貫録を合わせ持つ大滝の五郎蔵…それ以外でも高萩の捨五郎、馬蕗の利平治、舟形の宗平、浜崎の友五郎などの密偵が出てくる。(原作の場合。映像化の時はメインの密偵に替わることが多いが…)
 わたしが好きなのは…五郎蔵さんである。もちろん、粂八や伊三次も大好き。でもこの人の、大人の男という風情には勝てないな。なにせ、渋い人が好きだから(笑)。これは、きっと綿引勝彦さんの影響も大きい。あの方の声。それが原作の五郎蔵にぴったりなのだ
 原作では五郎蔵、おまさは夫婦になっている。その切っ掛けとなった事件<鯉肝のお里>では、情を通じた二人が淡々と描かれている。そして、それを温かく見守る長谷川平蔵。男運に恵まれなかったおまさが(平蔵には片思い、夫婦になった狐火の二代目には死別)五郎蔵と穏やかな生活を送っていく。梶芽衣子さんと綿引さんの夫婦もなかなかいいと思うのだが…ちなみに綿引さんの奥様はおはなはん@樫山文枝さん。こちらもずいぶんと渋いカップルだ。五郎蔵&おまさに負けないくらいに
名前 綿引勝彦(わたびき・かつひこ)
生年月日 1945年11月23日
主な出演作 <さすらいの旅路>(1973)、<さそり伝奇・風雲将棋谷>(1983)、<鬼平犯科帳>(1989〜99)
<天までとどけ>(1991)ほか
MEMO ピカチュ〜のCMではいい味を出していた