タイトル 遠山の金さん捕物帳
放映年 1970〜73年
放映話数 全162話
ご存知、遠山の金さんの第1シリーズ。前進座の中村梅之助が金さんを演じる。この後、市川段四郎→橋幸夫→杉良太郎→高橋英樹→松方弘樹と続いた

出演:木暮美智代、里見浩太朗、小林昭二ほか

丸顔な金さん。庶民的で、親しみやすい、粋な金さんでした

 よよよい、伝七親分で有名な中村梅之助さんだが、わたしにとってこの方は遠山の金さんの原体験である。<気前が良くてニ枚目で〜、ちょいとやくざな遠山桜〜>の金さん。二枚目というのはちょっと?だが、丸顔で愛嬌があって、ちゃきちゃきした語り口の金さんであった。にへら〜っと笑うと、まったく憎めない、遊び人金さん。だが、お白洲での啖呵は堂に入っていて、さすが前進座の花形。舞台人、芝居は上手いのである
 梅ちゃん(我が家では梅之助さんのことをそうお呼びする)の金さんは、この後の色男系金さんとは一線を画す。飄々として、飾り気がなく、力が抜けている。杉様も英樹さんもすばらしく二枚目で素敵だが、すでに顔に力が入っている(笑)梅ちゃんの金さんは、無駄なものがまったくなくって、それでいて妙に頼もしい。この後、梅ちゃんは当たり役の黒門町の伝七親分の<伝七捕物帳>、大河ドラマの<花神>と主役を演じるが、舞台に活動の拠点を移していく。今もTVで味のある脇役を演じたり、ナレーションをやられているが、70年代のこの時期が、一番TVに出られていたのではないだろうか
 梅ちゃんのご子息、中村梅雀さんもこれまた味わい深い俳優さんである。彼を非常に印象づけたのは、大河ドラマ<吉宗>で、吉宗の嫡男、九代将軍家重の演技。吉宗には次男の宗武(田安卿)、三男の宗尹(一橋卿)がおり、両名とも聡明で人望もあり、嫡男家重は何かと曰くがあった。その、不出来な家重を抜群の演技力で演じ、(この人が将軍で大丈夫か〜)と見ている我々に緊張感を与えてくれた(笑)その後も、ドラマや舞台で大活躍。父をも凌ぐ渋い演技派である。また、この方、梅ちゃんと声がそっくり。目をつぶって声だけ聞いていると、たまに解らなくなるほどである。親子揃って丸顔の、ナイスな演技派である。ああ、梅ちゃんの金さんにもう一度会いたいなあ〜(2003.5.27)