タイトル 忍風・カムイ外伝
放映年 1969年
放映話数 全26話
白土三平原作の漫画を「サスケ」に続いてアニメ化。全体的に大人の雰囲気で、話の内容もシビアだった。どろろも、カムイも愛する人が殺されるという悲劇が描かれているが、今の甘っちょろいヒューマニズムに比べて、よほど人間の本質や愛情が描かれている

声の出演:中田浩二(カムイ)、城達也、家弓家正、二階堂有希子ほか

姿も恰好良いが、なんといっても中田浩二さんの声。渋かったなあ

 水原弘さんである。「黒い花びら」である(笑)その彼が主題歌を歌ったのが本作<カムイ外伝>だった。42歳で亡くなった彼は、渋い歌声の大人の歌手だった。いま、しみじみと聴いてみると名曲である。カムイのクールな雰囲気をよく表現している。そういえば、水原弘さんで思いだすものがもうひとつ。キンチョーの看板である。未だに日本全国に点在し、だいたいは由美かおる嬢@疾風のお娟とペアで掲げられている。伯母の家がある神奈川県M町で、先年それをみつけ、ちょっと嬉しかった。われわれの世代にインプットされているキンチョーの看板。いつまでも残っていて欲しい。(大村昆さんのオロナミンCもね)
 さて現在、時代劇専門チャンネルで<サスケ>が放映されているが、それを見てあらためて面白い作品だと認識。<サスケ>の後は、ぜひ本作を放映していただきたい。サスケは忍びの非情さと、親子の情を描いているが、カムイは抜け忍ということで、より苛酷な運命が課せられている。常に命を危険に曝され、彼とかかわった人間が巻き込まれていく。カムイと出あった鮫漁師の一家は、女子供も皆殺しにあった。カムイはその敵を取り去っていくのだが、そこには空しさだけが漂っていた。それで、最終回。きっと今なら、ラストはもう少しハッピーな感じかもしれない
 昔は貧しいが、世の中に夢も希望もあった。だから悲惨なものが描かれても、見る側に余裕があるのか、あまり問題にならなかった。現在はどうだろう?ビルに飛行機がぶつかって、たくさんの人が亡くなった場面をリアルタイムで見た。なんだか嫌な世の中で、夢も希望もない。だからこそカムイを見て欲しい。こんな苛酷な運命でも彼は生きていく。生き抜いていく。闇の中でこそ一条の光が見えるのだから