タイトル 風の中のあいつ
放映年 1973年
放映話数 全26話
清水次郎長と黒駒の勝蔵の関係を勝蔵の側から描いた異色作。主役の勝蔵を若きショーケン(萩原健一)が演じている。ジュリーの主題歌も恰好良い。ライバルの清水の次郎長は米倉斉加年

共演:前田吟、下条アトム、竹下景子、星由里子ほか

いまやアーティストである。版画や絵本、それらの作品も素晴らしい

 米倉斉加年さんは不思議な俳優さんである。独特の雰囲気を持っていて、こういうタイプはモロ好み。声も素敵なのでナレーションも多くやられている。個人的には「座頭市と用心棒」の小仏の政五郎が好きだ。彼が、用心棒の三船敏郎さんを呼ぶ「しぇんしぇ〜い」という声が忘れられない。なんだか妙に可笑しいのである
 本作ではショーケン演じる黒駒の辰蔵の永遠のライバル、清水次郎長である。次郎長…最近だけでも、杉良太郎さん、高橋英樹さんの次郎長を見た。う〜ん、両方とも男らしい…米倉さんとは一味違う。だが、米倉さんの次郎長もなかなかいいのだ。ナレーションで「独特なスマイルで売り出し中の…」とあったが、思わず笑ってしまった。そう、ふっと笑った顔がナイス。でも、ばしっと決めるところは決めている。クールで格好がいいので、逆に血気盛んなショーケン@辰蔵から嫌われ、ライバル視される
 ショーケンも最近では芝居に力が入って、声がひっくり返ったりしていたが(利家とまつの明智光秀参照)当時のショーケンは渋くていいぞ。もそもそ喋りながら、熱い!しかし、長男柳生博さん、長女星由里子さん、次男ショーケンというなんだかすごい三兄弟だな。黒駒の勝蔵は次郎長がよく書かれる分(実際の次郎長も大した名士だったので)悪逆非道、とんでもない男として描かれていたが、本作では主役である。上州出身の方は溜飲が下る思いだろう(まるで忠臣蔵の吉良のように)
 それにしても我ながらイラストの人選が偏っているように思う。主役を描いたのは三分の一もないのではないか?だが、脇が光ってこその主役である。いい脇役が固めているドラマは面白い。これからも、素敵なサブキャラクターを発掘していきたい(2002.9.10)