タイトル 新必殺仕置人
放映年 1977年<シリーズ10作目>
放映話数 全41話
お馴染、必殺シリーズで、中村主水が初登場した作品でもある。中でも、念仏の鉄(山崎努)は印象深い

共演:藤田まこと、中尾ミエ、火野正平、中村嘉葎雄、菅井きん、白木まりほか

●必殺仕置人(1973年)全26話<シリーズ2作目>
フィギュアにまでなった念仏の鉄。やはりインパクトは強い

 必殺シリーズは92年の「必殺仕事人激突!」まで30シリーズも制作された人気番組だった。その中でも、念仏の鉄こと山崎努さんが出演された「必殺仕置人」「新必殺仕置人」が特に印象深い。なにせ、武器は素手。黒の革手袋をはめ、がきっ、ぼきっ!であの世に送ってしまう。女好きの、金に執着する生臭坊主である
 「新必殺仕置人」は中でも好きなシリーズだ。なにせ、元締めがタイガース永久欠番、背番号10の藤村富美男さんだ。彼が、裏切り者を殺すとき、ぶんとバットを唸らせて一発。それで、エンドである。ほとんど喋らない不気味な男、河原崎健三さん演じる死神もいい。遊び心もいっぱいで、確か「八つ墓村」が上映されていたときだと思うが、念仏の鉄が多治見要蔵のごとく、頭に蝋燭を立て、町中を疾走するシーンには笑った。同じ松竹系だから出来たのだろうけど(笑)
 「必殺仕置人」のラストは比較的穏やかなものだったが(皆が旅に出る場面で終わっている)「新必殺仕置人」の方は悲しいものだった。念仏の鉄は右手を焼かれたうえに、斬られ、女郎屋で哀れ憤死。中村嘉津男さん演じる巳代松は、拷問に耐えきれず、生きる屍となり、おてい(中尾ミエさん)に連れられて何処かへ去っていく。(鉄っつあんが、死んじゃった…)なんだかひどく悲しくなって、泣きながら最終回を見たものだ
 池波先生原作の梅安シリーズもそうだが、人を金ずくで殺すという行為は、いかにそれが世のためになろうと、仕掛人自体にも何らかの影を落とす。後のシリーズがエンターテインメント性を重視するあまり、どこかその部分が薄れ、明るくなってきてしまったが、初期のシリーズには影の部分もきちんと描かれていたように思う。仕掛人の最後もまた死なのである(2002.9.1)