タイトル 仁義なき戦い
公開年 1973年
配給 東映
深作欣二監督の代表作。ドキュメンタリータッチで広島でのやくざ抗争を描く。広島死闘篇、代理戦争(共に73年)、頂上作戦、完結編(共に74年)と続く。津島利章のテーマ曲とともに絶大なインパクトを世に与えた

出演:菅原文太、松方弘樹、小林旭、成田三樹夫、金子信雄、梅宮辰夫、北大路欣也、田中邦衛ほか

文太さん!と声を掛けたくなるカッコよさ。立っているだけで絵になる。声の渋さもまた素敵

 「太陽の王子ホルスの大冒険」の後が「仁義なき戦い」っていうのが楽しみ亭らしいというか(笑)相方が大好きで、DVDを揃え、ある時期毎晩観ていた。ちゃらら〜〜のテーマソングが頭に響くこと(笑)大人になって観ると、仁義なき戦いの中には、社会の縮図が見え隠れする。ああ、こういう上司だと最悪〜(山盛、槙原、打本の強力トリオ・笑)とか、こういう人が上司だったらついていくわ(武田@小林旭さん、この役はシビレた)とか。文太さん演じる広能は、侠気があるんだけど、義理に縛られ筋目を通しすぎるから、上役だと辛いかも…
 東映スターオンパレードな本作は、悪役、脇役も素晴らしい。わたし的にものすごく好きなのは、成田三樹夫さん演じる松永や、天津敏さん演じる河野組組長。天津さんは現代劇でもすっと立った姿が奇麗なんだよね。文太さんといい、どうもそういう立ち姿が美しい男に弱いのかも…(笑)文太さんの学校の先生で汐路章さんがいい味出してたなあ
 本作は5本あるが、同じ役者さんが違う役をシリーズで演じるので、たまにややこしくなる。たとえば梅宮さんは仁義なき戦い(以下、制作順に数字で記す)で若杉(これは悪魔のキューピーと異名を持つ人がモデル)と明石組幹部岩井(3、4)を演じる。松方さんは坂井(1)、藤田(4)市岡(5)、北大路さんは山中(2)と松村(5)。このあたりまでは区別がつく。ところが、名和さんは土居(1)、村岡(2、3)とどっちもやくざの親分だから混乱しちゃう。曽根晴美さんは矢野(1)、上田(3)、八名信夫さんは浅野(2)、河西(4)、加賀(5)なんて感じで役名も違えば組も違って、あれ?今回は味方?それとも敵?なんて一瞬分かんなかったり。でも、渋好み、悪役好きな人にはたまらない面々が大挙ご出演の本作、いろいろな意味で日本も変わったなあ…なんて思いながら観るのもいいとおもうよ。ちなみに本作は1973年度キネマ旬報ベスト10の2位。広島死闘篇は13位、代理戦争が8位(制作順)であった。映画界にも衝撃が大だったのである(2005.11.2)