タイトル 愛と誠
公開年 1974年
配給 松竹
梶原一騎原作、ながやす巧画の人気漫画を映画化。監督:山根成之 出演:西城秀樹、仲雅美、早乙女愛

●続・愛と誠(1975年)松竹
監督:山根成之 出演:南条弘二、多岐川裕美、早乙女愛
●愛と誠・完結編(1975年)松竹
監督:南部英夫 出演:加納竜、内田喜郎、早乙女愛


ヒロインの名前をそのまま芸名にした<早乙女愛>さん。美形でした

 <懐かし映画の小部屋>の第一弾が<愛と誠>(笑)おいおい、という声が聞こえてきそうである。それはおいておいて、わたしは本作を3本とも映画館で見ている。と言っても、地元の二番館でだが…
 <愛と誠>は漫画から入った。ながやす巧さんの絵が好きで、少年マガジンを買って読んでいた。もちろん、大賀誠ではなく岩清水派であったが…「君のためなら死ねる」と言った岩清水君…君が生きたのが、あの時代で良かったのだ。いまの時代、「君のためなら死ねる」などと言おうもんなら、ストーカーと思われ、気持ち悪い男と罵られるのがオチである。いや、すでに小林まことの<1・2の三四郎>でパロられていた。三四郎の岩清水くんのほうがストーカーに近いが(笑)
 記念すべき<愛と誠>映画化第一弾は西城秀樹さん主演であった。ヒロインの早乙女愛さんはオーデションで選ばれた十五歳の新人。ポーレシュカポーレ@仲雅美さんが岩清水であった。御三家の中では秀樹派だったので、傷だらけのローラを唄っているときのような秀樹の熱演が印象に残った
 続編は、何と言っても高原由紀役の多岐川裕美さん@久栄だろう。(いねえよ、こんな高校生)みたいなつけまつげチックな目張りの利いた眼差し(笑)主役の南条弘二さんがまったく印象にないのは、早乙女愛さんと滝川さんの女同士のバトルを重きにおいた演出によるものだろう。本が刳り貫かれ、そこに納められていた高原由紀のナイフ…その本が、ツルゲーネフの「初恋」というのが暗示的である
 完結編で主役を張ったのは熱血@加納竜さんである。本作は柴俊夫さん、大滝秀治さん、根上淳さんなど脇役を固めたため、ドラマ的にも盛り上がった。ただし、原作からはだいぶ変わったラストになったが…
 この作品をもう一度読んでみたいと思う。無条件に<愛>を前面に出した本作は、いま読むと新鮮なのではないか?善し悪しは別として、梶原一騎さんは確かに一時代を築いた人であった(2003.2.6)