バンコマイシン耐性腸球菌

バンコマイシン耐性腸球菌(VRE:vancomycin-resistant enterococci)は1986年欧州で初めて分離されました。また、日本では1996年尿路感染症患者からはじめてVREが分離されました。バンコマイシンは、ほとんどの抗生剤に耐性を持ったMRSA感染症に対する最後の砦と言われており感染の増加が懸念されています。




バンコマイシンは、ペプチドグルカンで構成されている、細菌の細胞膜の合成阻害によって、抗菌力を発揮します。赤色の分子が,バンコマイシンをあらわし、緑色の部分が、細菌の細胞壁合成に必要なムレインモノマーという物質の、結合部分だけをあらわしています。バンコマイシンは、水色の点線で現したように、5本の水素結合で強固に結びついて、細胞壁の合成を阻害しますが、バンコマイシン耐性菌では、ムレインモノマーの構造が矢印で示したように、一部変わっていて、バンコマイシンが水素結合できなくなっています。その結果バンコマイシンが細胞壁の合成を阻害できなくなり、抗菌力がなくなってしまのです。



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