制酸薬
医薬品名
構 造 及び 性状
常用量
作用・適用
副作用及び注意
炭酸水素ナトリウム
NaHCO3
1日最大量5g。胃内のPHは1.5位であるが、本剤を1gを投与すると、PHは5〜7になる。ただし、持続時間は十数分にすぎないため、他の制酸剤と一緒に配合される場合が多い。。ナトリウム蓄積。胃部膨満など。ナトリウム摂取制限の患者には使ってはいけない。
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
Mg(OAlSiO3)2・H2O
1日最大量4g。胃酸中和作用の他、抗潰瘍作用もある。長期大量で、高マグネシウム血症。悪心、嘔吐、下痢、便秘など。
炭酸マグネシウム
MgCO3
1日量最大2g。制酸作用の他、下剤作用もある。
長期大量で、高マグネシウム血症。ときに下痢。
酸化マグネシウム
MgO
1日量最大1g。制酸作用の他、下剤作用もある。
長期大量で、高マグネシウム血症。ときに下痢。
合成ヒドロタルサイト
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O
1日量最大4g。制酸作用。PH4前後の領域で、ペプシン(タンパク質分解酵素)の活性を低下させる。
長期大量で、高マグネシウム血症。ときに下痢、軟便、食欲不振、口渇。
水酸化マグネシウム
Mg(OH)2
1日最大2.4g。制酸作用は速やかで、持続的。ペプシンの活性を低下させ、抗潰瘍作用を示す。
長期大量で、高マグネシウム血症。ときに下痢。

注意:これらの制酸剤は、大衆薬ではほとんど単独で用いられることはなく、何種類か組み合わせて処方されるため、その常用量(1日量)は、1日最大量の数分の一以下である。

抗潰瘍薬
医薬品名
構 造 及び 性状
常用量
作用・適用
副作用及び注意
L-グルタミン
L−グルタミン
1日最大量2g 胃粘膜関門防御作用、胃の粘液・粘膜成分生成促進作用、肉芽形成促進作用など。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の自覚症状、他覚症状の改善。
ときに口渇、便秘、悪心、顔面紅潮など。
メチルメチオニン・スルホニウム・クロリド
メチルメチオニンスルホニウムクロリド
1回25〜75mg
1日3回
抗潰瘍作用、ヒスタミンの不活化、抗脂肝作用、代謝改善作用、胃粘膜変性防止作用。胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状改善。肝機能の改善。ときに、下痢、便秘、過敏症状(発疹)など。
アルジオキサ
アルジオキサ
1日最大量400mg上部消化管粘膜に直接的に作用し、肉芽形成促進・粘膜上皮再生促進・微小血管新生促進・粘膜血流改善。抗ペプシン・制酸作用。胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状改善。便秘など。
スクラルファート
スクラルファート

R:HまたはSO3[Al2(OH)5]
1回1〜1.2g
1日3回
胃粘膜保護作用、胃液ペプシン活性抑制作用、制酸作用等。胃潰瘍、十二指腸潰瘍。胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善ときに便秘、口渇、悪心、嘔吐など。
塩酸セトラキサート
塩酸セトラキサート
1回200mg
1日3〜4回
粘膜内において、自然治癒力の促進。胃粘膜微小循環の改善など。胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善ときに便秘、口渇、悪心、嘔吐など。過敏症(発疹)など。
ソファルコン
ソファルコン
1回100mg
1日3回
 胃血流量増加作用、胃粘膜血管拡張作用、胃粘膜修復促進作用、胃壁構成成分増加作用及び胃組織内プロスタグランジン量増加作用。主として、防御因子を増強させることにより効果を発揮する。胃潰瘍。胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善。
便秘、口渇、胸焼け。
塩酸ピレンゼピン
塩酸ピレンゼピン
1回25mg
1日3〜4回
胃の壁細胞のムスカリン受容体に選択的に作用し、胃液分泌を著明に抑制。粘膜血液維持作用。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善。高齢者の胃潰瘍に有効との報告もある。
口渇、便秘、悪心、排尿困難、過敏症(発疹)、たちくらみほか。
シメチジン
シメチジン
1回 200mg
(大衆薬配合では
1日300mg)
胃粘膜のヒスタミンH2レセプターに作用して、胃酸分泌を抑制。ペプシン分泌も抑制。昼夜とも胃酸分泌を抑制。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善。顆粒球減少、血小板減少、再生不良性貧血、肝機能障害、アナフィラキシー、頻脈、徐脈、便秘、下痢、ほか。
塩酸ラニチジン
塩酸ラニチジン
1回150mg
(大衆薬配合では
1日126mg)
胃粘膜のヒスタミンH2レセプターに作用して、強力に胃酸分泌を抑制。ペプシン分泌も抑制。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善。ショック、アナフィラキシー。白血球、血小板減少。肝機能障害。悪心嘔吐、腹部膨満、めまい、眠気、頭痛、幻覚、徐脈、舌炎、関節炎、筋肉痛ほか。
ファモチジン
ファモチジン
1回10mg1日2回胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体に拮抗することにより強力かつ持続的な胃酸分泌抑制作用を示す。塩酸及びペプシン分泌も抑制。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善。ショック、アナフィラキシー、無顆粒球症、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、間質性肺炎、過敏症(発疹)、口渇、便秘、悪心、嘔吐、徐脈、頻脈、痙攣、眠気、不眠ほか。

注意:大衆薬の領域では、潰瘍を治療するという考えはなく、あくまで、初期の胃炎に対してのみ適用することにしているので、H2ブロッカーの薬用量は、医療用治療量とは同じではありません。


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