ビタミンCの生化学的役割について
ビタミンCの役割については、基本的なものについては古くから知られていましたが、近年詳細な生化学的役割が明らかになるにつれて、その重要性が再認識されてきました。ビタミンと言えば1日の”必要量”を摂っていれば大丈夫とする考え方はすでに古いと言ってよく、より健康な生活をするためにも、ビタミンCでいえばグラム単位で摂る方がよいとさえ言われています(注意参照)。食品からビタミンCを摂る場合、体内には1500mgが貯蔵され、錠剤などで摂る場合は4500mgが蓄えられると言われています。この状態が、いわゆるダムが満水の状態であって、体がビタミンCで飽和されている状態なのです。ほとんどの哺乳動物ではビタミンCを体内で合成できるので、つねに満水状態で、最高の健康状態にあるのです。錠剤でビタミンCを摂る場合は食後の方が吸収が良くなること、また、胃の中で発ガン物質ニトロソアミンの生成を抑制することを考えますと、やはり空きっ腹にのむよりは、食後に摂る方がよいでしょう。
下表にビタミンCの生化学的役割を表にしました。これは新ビタミンCと健康(村田 晃著、共立出版)から引用したものですが、興味のある方は読んでみてください。ただし、生化学的役割と薬としてのビタミンCの薬効とは必ずしも一致しません。しかし、体の中での様々な作用がわかるにつれ、折に触れてビタミンCの摂取には気を遣った方がよいと思います。
環状ヌクレオチドの生成と調節。
プロスタグランジンの生成と調節。
インターフェロンの産生をうながし、活性を高める。
水酸化反応に関与
体全体の酸化還元に関与。
活性酸素、その他のラジカルの補足。
抗酸化(還元)作用。
ビタミンEラジカルを還元してビタミンEを再生。
コラーゲンの生成と維持。
薬物代謝系に関与。
副腎皮質ホルモンやカテコールアミンの生成と維持。
糖の代謝に関与。
インスリン様の血糖降下作用。
アミノ酸の代謝に関与。
チロシンからのメラニン生成を抑制。
葉酸代謝に関与。
カルニチンの生成に関与。
鉄の吸収を高める。
鉄を含むタンパク質の生成と代謝に関係。
カルシウムの吸収と代謝に関係。
骨代謝や骨芽細胞の分化・増殖に関与。
抗ヒスタミン作用。
悪玉LDLコレステロールを減少。
善玉HDLコレステロールを増加。
中性脂肪減少。
血圧上昇抑制。
血液のフィブリン溶解活性を高める。
免疫能を増強。
抗炎症作用に関係。
寒冷抵抗力を高める。
脳の機能に関与。
尿酸低下作用。
金属キレート作用。
利尿作用。
鎮痛作用。
ウイルスの不活性化。
殺菌作用。
ニトロソアミンの生成抑制。
ガン原性を不活性化。
抗腫瘍作用。
注意)----------- 
1998年、イギリスの科学者による研究で、1日500mg以上を服用すると、DNAに損傷を与えるという報告がされています。このレポートについては、プラセボーを使った対比実験ではないので、その実験の正確さに多くの疑問が寄せられています。従って、さらに正確な研究が必要ではありますが、一般に、アスコルビン酸(抗酸化剤)が体内にはいると、デヒドロアスコルビン酸酸化剤)となり、本来期待している作用と反対の作用を持つようになります。これを防ぐには、同時に抗酸化剤であるビタミンEをとるとよく、デヒドロアスコルビン酸からアスコルビン酸への反応が進み、また本来の作用が生じるようになるからです。したがって、ビタミンCを大量にとる場合には、ビタミンCとEが配合された商品(たくさんあります)をのむ方がいいかもしれません。
何でもそうなのですが、一種類だけ長期間大量にとるというのはどんなものでも望ましいとは思えず、必ず、ほかの栄養素を総合的に摂取することが必要でしょう。
アメリカでは1日200〜400mgが推奨され、上限を2000mgとしているようです。
これらを参考にして、ビタミンCを上手にとってもらいたいものですね。




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