自主保全活動その一
[動いている時の不具合を見よ]
 キックオフ後はいよいよ全職場に活動が展開されるが、まずは自主保全活動となる。モデルラインの活動と異なり全職場に展開することに大変な苦労が伴う。管理監督者は、限られた活動時間の中で一般のオペレーターを活動に巻き込む事の大変さを体験する事になる。現場監督者のリーダーシップが発揮出来るか、否かにかかってくる。「清掃は点検なり点検は不具合の発見なり」不具合にエフ付けをと、どんなに事前教育を行っても、清掃に集中してなにが不具合か分からない、極端な例では「汚れている」というエフを付けてしまう、汚れの発生源を見付けてそこに「洩れている」または、「飛散する」というエフを付けてほしい。さらに活動中は設備を停止して初期清掃するため,配線の干渉や引っ張られ、発熱・異音・振動などの稼動中の不具合がほとんど見落とされてしまう。 筆者が設備を見させて貰うときは、ほとんど設備が動いている状態のため,これらの不具合を指摘して「動いている時の不具合を見よ」そのためには、「オペレーター全員が常にエフをポケットに入れて仕事する事、仕事中これらの動いている時の不具合に即エフを付ける事」と言っている。
[エフ取りは改善技能の出発点 ]
不具合のエフ取りには,物造り改善技能が必要になる。局所カバー造りのためには、板金細工、アクリル板細工、溶接、穴明け。配線配管の切り回し、などを教育訓練場で実技指導が必要になる。さらに実際に改善する場として「改善工作所」を職場単位に設置する。これらのエフ取りに必要な改善技能を可能な限り多くのオペレーターに教育することが、今後の自主保全活動の進捗に関わってくる。筆者の関係した会社では、女性オペレーターが大変多く、彼女たちにも溶接、板金の教育を実施して改善を進めている。 エフ取りのための改善技能は「カラクリ改善」や「ポカヨケ造り」に将来発展することになる。まさに「エフ取りは改善技能の出発点」となる。 全職場が自主保全活動が軌道にのり、また全設備が1ステップから2ステップを合格するには、設備の種類にもよるが1年以上かかる。外部のコンサルタントの指導を受けないで自前で活動していると、この段階で活動が停滞してしまう例がほとんどである。そのうちに清掃がTPM活動と勘違いをおこし、美化運動となり設備にペンキを塗り始める。こんな間違った活動にならないように自前での活動に見切りをつけて正しい活動指導を受け てほしい。
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