自主保全活動その二
[安易な診断合格はオペレーターに失礼になる ]
 各ステップの自主保全診断は大変優れた活動の仕組みである。一定の活動レベルに達していなければ、不合格となり再度そのステップの活動をやり直す事になる。診断を実施するメンバーは一般的には該当職場の課長を診断長として、該当職場以外の係長、他課の係長、保全担当、推進事務局で構成するが、時に工場長自ら参加する場合もある。 
この診断システムは受診する側だけでなく、診断する側も自主保全の進め方を徹底して学ぶ事になる。ここで気を付けなければならないことは、安易な診断合格である。そのステップの活動はいまいちだが、オペレーターが時間外で大変苦労しているからと合格させてしまうと、本来そのステップで学ぶべき事をその場でつみとってしまう事になるからである。また設備も故障の基になる不具合を積み残してしまうため故障が減らない。
 診断する場合の各ステップの「診断シート」も大変重要である。筆者もかってTPMの教科書や他社事例を参考にこの「診断シート」を作成してきたが、満足していなかった。対象の設備によって「診断シート」の内容を別けてより具体的にすることが必要である。
[何のために「清掃・給油・点検」するのか ]
 自主保全活動も第三ステップに入ると、「清掃・給油・点検仮基準書」を作成し、これをチェックシートで実施することになる。 「清掃・給油・点検仮基準書」の作成に当たっては従来から実施していた始業点検項目や品質点検項目を全て統合して作成する。さらに潤滑経路を調べて設備の図に落とし込む。この段階でのポイントは、何のために清掃・給油・点検するのか?を明確にすることである。一番は安全確保のため、二番は品質確保のため、三番は故障チョコ停を予知予防するためである。
例えば製品取付け部回りの切粉清掃は品質確保のため、潤滑油の油量点検と給油は故障を予防、油圧圧力計の圧力点検は品質確保とポンプ等の故障を予知するためである。 このように整理した仮基準書は、例えば品質確保に関わる清掃・給油・点検箇所がこれだけで充分なのか?故障を予防する項目はこれだけで充分なのか確認と見直しが出来るからである。
まだ仮基準の段階であるから全て満足するのは無理である。今後の四ステップ総点検や個別改善、品質保全の取組で完全な基準書に成長する。 
また最近では三ステップで点検の目で見る管理を必要最低限実施するようになった。圧力計類の集約と9時方向表示、油量レベル計の目盛り表示、フアン類の風車または風量ダクト、配管開閉コックの常時開表示などなどである。目で見る管理は四ステップ以降もさらにレベルを上げるため後記する。−−−以下次の更新日に続く
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