個別改善編その一 |
総合効率の把握-2 |
[手作業ラインには作業総合効率 ] 手作業組立てラインでは設備総合効率の指標が取れなかった。たとえ組立て設備が工程内にあっても、ライン全体のネックは人の作業であり、作業の標準時間が理論タクトとなる。1サイクルの作業には、作業の手順や習熟度による作業速度のバラツキや、物の取り置き、歩行、運搬、目視監視探視、修正調整、手待ち等の低付加価値作業のロスや、各作業工程間の作業タクトのバラツキから生じるラインバランスロス(編成効率)などが発生する。 従来は「能率管理」や前記の「時間当り出来高管理」等で効率の物差しとしてきたが、設備総合効率管理のようにそれらを個別改善するというストーリーが描き切れなかった。 そこで設備総合効率の考え方で、工程の人の作業能率と工程の効率を統合した指標に整理したものが「作業総合効率」である。すなわち正味操業時間内で停止ロスがなく、必要な生産要求タクトで付加価値の高い作業と、工程バランスの取れた、タクトのバラツキのない作業で良品を製造する度合いを表す指標である。 設備総合効率との対比では、時間稼動率と良品率はほとんど同じであるが、性能稼動率の内容が異なる。性能稼動率の中を、「タクト作業率」と「ラインバランス率」に分けている。「タクト作業率」には作業の速度ロス(作業未習熟など)、低付加価値作業ロス、間欠作業ロス(部品供給出荷、検査記録ロスなど)のロス構造が含まれる。「ラインバランス率」には配員バランスロス、作業充実度などのロス構造が含まれる。 [作業総合効率の具体的計算式] 工程の停止ロスを表す"時間作業率"(設備総合効率の時間稼動率に相当)と、生産タクトの作業速度低下ロスと間欠的に停止するロス、および工程間のラインバランスのロス度合いを表す"性能作業率(同じく性能稼動率に相当),製品の良品度合いを表す"良品作業率"とし、これらを掛け合わせて「作業総合効率」とした。 作業総合効率=時間作業率×性能作業率×良品作業率 時間作業率=正味操業時間−(生産準備停止時間+設備故障停止時間+ 段取換停止時間+前工程材料切停止時間/正味操業時間 正味操業時間=実際操業時間−(生産計画停止時間+管理停止時間) 性能作業率=タクト作業率×ラインバランス率 *タクト作業率=生産要求タクト/実際タクト 又は =標準時間タクト/実際タクト タクト作業率の基準に、生産要求タクトにする事が望ましいが、段取り変えのある多品種生産ラインでは標準時間タクトを基準にした方が良い。 *ラインバランス率=総標準作業工数/ネック工程作業標準時間×人員数 良品作業率=良品生産数/(良品生産数+不良手直し数) |
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