[TPM活動推進全般]


TPM活動を成功させる秘訣10ケ条 

1.会社経営方針と中期計画を達成する方策としてTPM活動を導入すること。
2.社長・役員・工場長がTPM活動を研究すること。
3.社長・役員・工場長が自ら工場の活動に参加し、手を汚し率先垂範すること。    
4.社長・役員・工場長が指導会に可能な範囲で参加する事。
5.導入準備をしっかり計画実施する事。。 
6.現場の管理者、監督者に現場管理教育を実施する事。。
7.現場の管理者、監督者が素直である事。。 
8.必要な活動経費の予算がある事。
9.推進事務局がしっかりしている事。
10.外部セミナー、他企業の見学を積極的に行う事。

[解説]
TPM活動の導入を決意する段階で、誰が決意するかが重要である。社長の決意か、生産部門担当役員の決意か、工場長の決意かでその後の活動展開が大きく影響する。また、世の中のTPM実施会社や、TPMの本質と成果をよく研究した上で、自社生産部門の体質改善の運動体として不退転の決意で導入するかがTPM活動成功の鍵と言える。             
第1条・会社経営方針と中期計画を達成する方策としてTPM活動を導入すること。

 会社経営方針と中期経営計画では、生産部門の目標達成のための運動体として位置づける、よって中期経営計画とTPM活動の管理項目、目標値の整合が取られている事が極めて重要である。
  さらにTPMの運動体でどのような工場にしたいのかと言うコンセプトを持つことが重要である。
 よくある事例として、中期経営計画と全く無関係に、工場が汚いからとか、設備の故障が多いからとか、競合会社がTPM活動を行っているから等の動機でTPM活動を導入した場合は、管理項目や目標値は中期経営計画の目標値と全く遊離したものに成ってしまう。
 中期経営計画の目標達成のための運動方策である事を、充分に認識して導入決意すべきである。

第2条・社長・役員がTPM活動を研究している。

 中期経営計画での生産部門の目標達成の運動体となれば、社長や役員は自らTPM活動を研究することが望まれる。JIPMの経営者向けセミナーに参加したり、TPM実施工場を見学してTPM活動の正しい認識とその成果を自分の目で確認する必要がある。
 そして自社での活動展開に当たっては、社長自らの旗振りで活動を引っ張る決意が生まれる筈である。

第3条・社長・役員が自ら工場の活動に参加し、手を汚し率先垂範している。

 活動が展開してからは、社長以下役員は自ら率先垂範で活動に手を染める事が、この活動の重要な秘訣となる。
 しかし社長以下役員が自ら活動に参加するには、相当の覚悟でTPMの導入決意をしていないと出来ない。まして大企業になると分刻みの社長業務のなかでは殆ど不可能かもしれないが、たとえ一日でもつなぎの作業服を着てモデルラインの自主保全活動で真っ黒になる体験をすれば、これから展開する活動の大変さと、もの作り現場の設備がいかに大切かを理解出来る。
 そして今後のトップ診断に役立つ筈である。社長の参加が得られなくても、生産部門担当の役員はかならず活動してほしい。

第4条・社長・役員が指導会に可能な範囲で参加している。

 第3条同様に、JIPMコンサルタントの指導会には、社長・役員が可能な範囲で参加する事が望まれる。 コンサルタントが現場に対してどんな指導を行っているのか、活動の進め方が良いのか、改善の考え方や視点、解析方法は、求める成果は等、学ぶ事は多い。
 そして何よりも社長・役員が参加していることにより、直接指導を受けている現場の意気込みが高まる筈である。

第5条・導入準備がしっかりしている。

 導入準備段階の良し悪しがキックオフ後の活動が順調に展開されるか否かに掛かっている 徹底したTPMの階層別導入教育、JIPMの導入セミナー参加、推進組織と分科会の設定、活動管理項目と目標値の設定、マスタープランと詳細な活動計画の作成、社長役員管理者のモデルライン活動、TPM実践企業への工場見学等々。
 これでもかと言うくらいの準備をしても、実際の活動展開になると監督者やオペレーターまで浸透していなかったとか、間接部門の認識が不足していた等の反省がある。

第6条・製造現場の監督者に現場管理教育がされている。

 実際の活動展開に入ると、製造現場での自主保全活動、個別改善活動で最も戦力になるのは監督者(リーダー)であり、監督者の資質が活動の鍵を握っている。
 よって監督者が現場管理の基本である作業管理や品質管理、生産管理などの基礎的な知識を身に付けているかが、活動展開の基盤と成っている。
 これらの現場管理教育が不足している工場は、導入準備に平行して計画を立てて監督者教育を実施する。

第7条・現場の監督者が素直である。

 監督者の現場管理教育と平行して、素直に活動を実行し、コンサルタントの指導も素直に受けられる体質が活動を成功させる原動力になっている。
 管理者の監督者に対する日頃の指導とコミニケーションがここに現れる。監督者が常に不満をもって仕事をしていれば、活動も素直に受け入れられないからである。
 管理者は素直さに欠ける監督者に対しての指導とコミニケーションを持つ事もTPMの重要な活動であると認識してほしい。

第8条・必要な活動経費の予算がある

 TPM活動の展開には、生産時間外に活動する必要な労務費や活動器材費用教育費用などの活動経費が掛かる。これらがきっちり予算化されていないと活動も頓挫してしまう。
 TPM活動には活動経費が掛かるからなかなか導入に踏ん切れないという工場ほど膨大なロスだらけの生産をしている。
 また活動経費を掛けないでTPM活動で成果を求めようと安直な導入をした会社はまず失敗する。必要な活動経費の予算をもってTPM活動を導入すれば必ずその何倍かの成果が得られる。

第9条・推進事務局がしっかりしている。

 導入準備から活動展開の全てを推進する事務局の役割は大変大きい。そのために推進責任者は生産部門担当役員か工場長が望ましい、そして推進事務局には有能な人材を選抜してほしい。  
「推進事務局は何名いれば良いのですか?」と言う質問を受けるが、人員が大勢いれば良いのではなく、工場の規模にもよるが少数精鋭の事務局体制が望ましいと答えている。

第10条・外部セミナー、他企業の見学を積極的に行っている。

 導入準備段階では、導入教育と詳細な活動計画の立案のためにTPM実施企業の見学やJIPMのセミナーで十分に研究することが必要である。
 また活動が展開されてからは、階層別に見学を実施する。特に製造現場のリーダー層やオペレーターの工場見学は有効である。
 活動が進んだ段階では専門分科会ごとに目的を持って見学や外部セミナー研修などを計画的に実施する。

[次へ]