ずっと側にいてくれるのだと、信じていた。 ずっと、ずっと、この温もりの中にいられるのだと。 でも、わたしは、終わりがあることに、気付いてしまった。 見たくない物を、”視て”しまった。 わたしは、”それ”が”現実”になるのだと、解ってしまった。 それは、確かな”終わり”。 「いってきます」 それが、別れの言葉……? …終わり……。 もし、わたしの手が”人の手”であれば、この戒めを解いて、あの人を追うことが出来るのに。 もし、わたしが”人”であったなら……、この運命を……。 静かに…目を閉じる。 『いつの世も人は、私達に災厄を与えるだけなんですよ』 ……母さま…。 『それでも私達は、人に温もりを求めるものなのです』 ……アスハさま…。 もしも…、もしも私に、その”力”があるのなら。 ただ、一つの『願い』を……、 ゆっくりと…目を開ける。 初めて”人の目の高さ”で見る景色。 わたしは”人の手”で戒めを解き、扉を開け、 砕け散り、流れ去る、暖かな記憶。 その中から、たった一つの言葉を紡ぎ出す。 私は初めて、”人の言葉”でその名前を呼んだ。 「………みしお……っ」 |